高尿酸血症は血液中の尿酸値が高い状態で、痛風は関節に沈着した尿酸塩結晶によって急性関節炎が起きた病態だ。健診で尿酸値が基準を超えても、関節が痛む痛風と同じ意味にはならず、薬が直ちに必要とも限らない。

「尿酸値が高い」と「痛風」を分ける

厚生労働省の健康情報サイトは、血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症としている。尿酸が高いだけなら自覚症状はなく、結晶が関節にたまって炎症を起こすと痛風発作になる。一方、日本整形外科学会は、確実な診断には発作中の関節液で尿酸塩結晶を証明すると説明している。採血結果だけで「痛風になった」と決めつけるのは正確でない。

診察室で血液検査報告書の尿酸値を示しながら説明する医師(イメージ)

突然、関節が赤く腫れた時

外傷がないのに足の親指の付け根、足首、膝など一つの関節が急に赤く腫れ、熱を持って激しく痛む場合は、初回ほど自己判断せず早めに受診する。痛風・尿酸財団は、発作した関節を安静にして冷やし、できるだけ早く医師の診察を受けるよう案内している発熱や悪寒、強いだるさを伴う場合、人工関節が入っている場合、免疫を抑える治療中の場合は、感染性関節炎を除外するため当日中に受診する。感染性関節炎は急速に関節を傷めるおそれがある

受診までの間は患部を高く保って冷やし、もんだり無理に歩いたりしない。痛み止めは腎機能、胃腸障害、抗凝固薬などとの組み合わせで選択が変わる。手元の薬を自己判断で追加せず、処方済みの発作用薬は医師から受けた指示の範囲で使う。

無症候で薬を検討する日本の目安

症状がない高尿酸血症では、尿酸値と合併症を分けて考える。日本痛風・尿酸核酸学会の治療ガイドライン第3版は、腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどがあれば8.0mg/dL以上、なければ9.0mg/dL以上で薬物治療を検討するアルゴリズムを示している。これは自動的な処方基準ではない。値が持続しているか、尿酸を上げる薬や飲酒がないか、腎機能とほかの生活習慣病をどう管理するかを診察で確かめる。

海外の判断は同じではない。米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)の2020年指針は、痛風発作や皮下痛風結節のない無症候性高尿酸血症に対し、尿酸降下薬を始めないよう条件付きで推奨した。臨床試験のデータから、3年間に一度の痛風発作を防ぐには24人を治療する計算になることを理由に挙げている。日本と米国の差は、尿酸値だけを見て自己判断で薬を始める危うさも示す。

発作中も継続薬を勝手に止めない

急性発作の治療は炎症と痛みを抑えることが中心で、非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチン、副腎皮質ステロイドなどから医師が持病と併用薬を踏まえて選ぶ。用量や組み合わせは処方ごとに異なる。日本整形外科学会は、発作が起きなくなっても尿酸を下げる薬を自己判断で中止しないよう注意を促している。すでに尿酸降下薬を服用している人が発作時に継続するか、変更するかも処方医に確認する。

食事は豆腐一品より、酒と甘い飲料を含む全体像

プリン体を含む食品を一律に排除する必要はない。米国男性47,150人を12年間追跡した研究では、肉と魚介類の摂取量が多い群で痛風発症が多かった一方、プリン体の多い野菜と総たんぱく質には発症増加との関連がみられず、乳製品の摂取量が多い群では発症が少なかった。観察研究であり、豆腐や乳製品が発作を防ぐと証明した試験ではない。

飲み物は見落としやすい。アルコールは飲料中のプリン体とは別の経路でも尿酸値を上げる。同じ米国男性集団を使った別の研究では、砂糖入り清涼飲料を1日2杯以上飲む群の痛風発症リスクは、月1杯未満の群の1.85倍だった。この値は個人の発症確率ではなく、米国男性の観察研究で得られた相対リスクである。

厚生労働省は、野菜、果物、豆類、全粒穀類を組み合わせ、酒は種類を問わず減らし、甘い飲料やジュースを控えるよう勧めている。肥満がある人には食事の見直しと軽い有酸素運動も挙げる。水分制限を受けている心不全や腎疾患の患者は、「尿酸対策」として飲水量を独断で増やさず主治医の指示を優先する。

氷の入ったビールと揚げ物、貝料理、水が並ぶ食卓(イメージ)

妊娠中、小児、腎疾患や常用薬がある人

妊娠中や授乳中、小児の高尿酸血症は成人一般の基準をそのまま当てはめない。薬の安全性や高値の背景が異なるため、産婦人科または小児科を含む担当医に相談する。腎疾患、心不全、尿路結石がある人、利尿薬や免疫抑制薬を使っている人も、食事・飲水・薬の変更を自己判断で進めない。

数値を下げる目的を先に決める

尿酸値が高い人では肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症が重なることがある。ただし、関連があることと、無症候者の尿酸値を薬で下げれば心血管疾患や腎疾患を防げることは同義でない。日本の治療ガイドラインでも、腎障害と尿路結石を除く合併症について、尿酸値を下げてイベントを抑える大規模介入試験は未施行だと記されている。診察では「痛風発作を防ぐためか」「結石や腎機能を含めて評価するためか」と治療の目的を確かめる必要がある。

よくある質問

尿酸値が7.0mg/dLを超えたら薬が必要なのか
7.0mg/dL超は高尿酸血症の定義で、薬を一律に始める線ではない。日本の指針は症状、合併症、さらに高い尿酸値を組み合わせて薬物治療を検討する。

豆腐や納豆を避ければ痛風を防げるのか
豆類だけを原因とみなす根拠は乏しい。厚生労働省は豆類を含むバランスのよい食事を挙げ、米国男性の観察研究でもプリン体の多い野菜と痛風発症の増加に関連はみられなかった。酒、甘い飲料、体重を含む食習慣全体を見る必要がある。

発作中は尿酸降下薬を止めるのか
自己判断では止めない。すでに処方されている薬の継続や変更は、発作の治療と分けて処方医に確認する。

尿酸を下げるサプリメントを試してよいのか
市販サプリメントを痛風治療の代わりにはできない。成分によって持病や処方薬との相互作用も異なるため、使用前に医師または薬剤師へ確認する。