英仏海峡を渡っていた過密な小型船でエンジン火災が起き、船体が急速に壊れ始めた。フランスと英国の救助隊は8月4日、フランス側の捜索救難区域で157人を救助した。

フランス海洋当局の発表を伝えたAPによると、フランス船が103人、英国の船が54人を救助し、全員をフランス北部ブローニュシュルメールへ運んで健康状態を確認する予定とされた。死者や負傷者の確定数は、この発表を伝えた記事には示されていない。

海上を航行する法執行機関の巡視船(イメージ)

火災前にも5人を救助

船は3日夜にノルマンディー沿岸を出発し、フランス側の救助船が監視していた。夜間に支援を必要とした5人は先に救助され、ブローニュシュルメールへ運ばれた。残る乗船者はその時点では救助の申し出を受け入れず、英国方向への航行を続けた。

4日朝、英国水域に近いフランス側の救難区域でエンジンが燃え、船体が崩れ始めた。フランスは救助船2隻、海軍ヘリコプター、医療要員を投入し、英国から王立救命艇協会(Royal National Lifeboat Institution、RNLI)と国境警備隊が加わった。

フランス海洋当局は、過積載で構造の弱い船から乗船者を強制的に移そうとすれば転覆を招く恐れがあるため、差し迫った危険がない段階では救助を強制しないと説明した。支援を拒んでいた人々が、火災と船体破損で一斉救助の対象になった形である。

救助人数──火災後は157人

APが引用したフランス海洋当局の内訳は、火災後の救助が157人で、これとは別に夜間に5人が先に救助されたというものだ。157人はフランス側103人と英国側54人の合計とも一致する。本稿は火災後の一斉救助について157人を採用した。

直前の大型艇では19歳を起訴

今回とは別に、7月23日にフランスから英国へ渡った大型の複合艇を巡る刑事事件も進んでいる。英国国家犯罪対策庁(National Crime Agency、NCA)は、南スーダン出身のチャン・マトク・アタク被告(19)を、海路で英国へ向かう途中に他人を危険にさらした罪で起訴し、7月27日の初回出廷まで勾留したと発表した

7月27日の法廷を伝えた報道では、船は長さ約13メートルで、報道上の乗船者数は165人とされた一方、検察側は167人が乗っていたと説明した。アタク被告は操縦したとの起訴内容を否認し、8月24日にカンタベリー刑事法院へ出廷する予定とされた。人数の違いは残っており、被告の有罪が確定した段階でもない。

週1176人到着、統計は暫定値

英国政府の週次集計では、8月2日までの1週間に小型船15隻で1176人が到着し、472人と20件の渡航が阻止された。集計は英仏の運用データに基づく暫定値で、後に改定される場合がある

7月23日の船と8月4日の火災は、いずれも1隻に150人を超す規模の人が集まった事例である。ただし、この2件だけで船の大型化が長期的な傾向だとは確定できない。船ごとの乗船者数を継続して比較できる公的な時系列と、事故原因の確定結果を待つ必要がある。

よくある質問

8月4日の火災では何人が救助されたのか
フランス海洋当局の発表を伝えたAPは、火災後に157人が救助されたとしている。内訳はフランス側103人、英国側54人である。このほか、同じ船から夜間に5人が先に救助された。

なぜ火災前に全員を船から移さなかったのか
残る乗船者が支援を拒んだうえ、過積載で壊れやすい船から強制的に移せば転覆する恐れがあったため、フランス側は救助を強制しなかった。

19歳の被告は今回の火災に関係しているのか
確認されていない。被告が起訴されたのは7月23日の別の渡航であり、8月4日の火災とは別件である。

船の大型化は統計で確認されているのか
今回確認した英国政府の週次資料は到着者数と船数を示すが、船ごとの乗船者数の分布は掲載していない。二つの大型船の事例だけで長期的な傾向とは断定できない。