便秘は、排便回数が少ない状態に限らず、硬く乾いた便、排便時の痛みや出しにくさ、便が残る感覚を含む。原因は食事や活動量の変化、便意の我慢、薬、消化管や全身の病気まで幅があり、何日出ていないかだけでは重症度を決められない。

急な便秘でも全身状態が安定し、強い腹痛や出血がなければ、食事中の食物繊維を少しずつ増やし、水分、身体活動、トイレへ行く時間を整えるところから始める。浣腸や下剤は、症状や対象年齢を確認せずに繰り返さない。

先に確認する救急の兆候

突然の激しい腹痛、または激しい腹痛が続く時、便に血が混じる時、真っ黒い便が出た時は119番へ連絡する。子どもが激しい腹痛で苦しむ、嘔吐が止まらない、激しい下痢や嘔吐で水分が取れず意識がはっきりしない、便に血が混じる場合も同様だ。厚生労働省の救急車利用案内は、成人の突然または持続する激しい腹痛、血便・黒色便と、子どもの激しい腹痛、止まらない嘔吐、血便を119番通報の目安に挙げている

激しさはなくても、腹痛が途切れず続く、ガスが出ない、嘔吐や発熱を伴う、意図せず体重が減る場合は早期に医療機関へ相談する。セルフケアを続けても便秘が改善しない場合も受診の対象だ。米国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)は、直腸からの出血、血便、持続する腹痛、ガスが出ない状態、嘔吐、発熱、腰痛、意図しない体重減少を速やかな受診が必要な症状としている

下腹部を押さえて座る人(イメージ)

食物繊維は少しずつ増やす

食物繊維は便の体積を増やす材料になる。麦ごはん、全粒粉パン、豆類、いも類、野菜、果物、きのこ、海藻など、普段の食事へ足しやすい食品から増やす。急に大量に増やすと腹部の張りが強くなる場合があるため、数日かけて調整する。

厚生労働省の健康情報サイトは、2025年版の食事摂取基準に基づき、成人男性の食物繊維目標量を年齢別に1日20〜22グラム以上、成人女性を17〜18グラム以上とし、まず1日3〜4グラムを無理のない範囲で足す方法を示している。数字だけを追わず、主食を麦ごはんや全粒粉パンへ替える、豆や野菜を一皿加えるといった形で分散させる。

腎臓病や心不全などで食事や水分の制限を受けている人は、この目標量や一般成人向けの水分補給を自己判断で当てはめず、主治医または管理栄養士へ確認する。

水分、活動、排便の時間を整える

食物繊維を増やす時は、水や普段の飲み物も取る。脱水がある場合は水分補給が必要だが、便秘だけを理由に一律の量を飲む根拠はない。心臓や腎臓の病気で水分量を指示されている人は、その指示を優先する。

座り続ける時間を減らし、体調に合う歩行などの活動を続ける。朝食後など毎日取りやすい時間に、急かされずトイレへ座る習慣を作り、便意が来たら我慢しない。足が床に届かない場合は安定した台に足を置き、前かがみになりやすい姿勢を取る。

NIDDKは自宅での対応として、食物繊維を増やす際の十分な水分、定期的な身体活動、毎日同じ時間帯の排便、便意を我慢しないこと、足台の使用を挙げている。同資料は、便秘の原因として薬やサプリメントが疑われても、医療者へ相談せず中止や変更をしないよう求めている。

足を安定した台に置いてトイレに座る姿勢(イメージ)

浣腸を自己判断で連用しない

一般用の浣腸は製品ごとに対象年齢、使用量、使用回数、相談が必要な条件が異なる。効かなかったからと続けて使ったり、家族用の製品を流用したりせず、外箱と添付文書を確認する。激しい腹痛、吐き気、嘔吐がある時は浣腸で様子を見ず、受診または救急要請の基準で判断する。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開する一般用グリセリン浣腸の添付文書は、連用による効果の低下と薬剤へ頼りがちになるおそれを示し、先端を無理に挿入すると直腸粘膜を傷つけるとしている。これは一製品の添付文書であり、全ての浣腸に同じ年齢や回数が適用されるわけではない。使う製品の記載を優先し、判断に迷う時は医師、薬剤師または登録販売者へ相談する。

薬局の棚に並ぶ一般用医薬品の箱(イメージ)

子ども、妊婦、持病や常用薬のある人

子ども。 成人向けの食物繊維量や水分量、浣腸をそのまま当てはめない。NIDDKは、便秘の子どもに腹部の張り、持続する腹痛、嘔吐、血便、体重減少がある場合は速やかに受診するよう案内している。救急の兆候がなくても便秘が続く、排便を怖がる、便が漏れるように見える場合は小児科で相談する。日本小児栄養消化器肝臓学会などの患者向け案内は、子どもの便秘は一人ひとり異なり、自己判断で治療せず、医師の診断と指導の下で対応するよう求めている

妊婦。 食物繊維を含む普段の食事と、無理のない身体活動を基本にする。浣腸、下剤、サプリメントを使う前に産婦人科または薬剤師へ確認する。がんこな便秘、腹痛、性器出血、発熱、吐き気や嘔吐がある場合は早く医師へ相談する。厚生労働省の妊娠案内は、がんこな便秘、腹痛、性器出血、発熱、吐き気・嘔吐を早く医師へ相談する症状に挙げている

持病や常用薬のある人。 鉄剤、一部の鎮痛薬や抗うつ薬など、便秘に関係する薬は複数ある。新しく便秘が始まった時は、発症時期と薬を始めた時期を記録し、お薬手帳を持って処方した医師または薬剤師へ相談する。薬の中止、減量、変更は自己判断で行わない。水分、カリウム、食物繊維などに制限がある人も、一般成人向けの方法を主治医へ確認してから取り入れる。

慢性疾患や常用薬の種類ごとの便秘対応を一括して示す日本国内の公的な患者向け資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。個別の病名や薬に踏み込まず、処方元への確認を優先する。

自宅で歩く高齢者に付き添う介助者(イメージ)

よくある質問

便秘になったら最初に何を確認するのか
突然または持続する激しい腹痛、血便、黒色便、止まらない嘔吐がないかを先に確認する。該当すれば119番へ連絡し、軽い症状でも持続する腹痛、ガスが出ない、発熱、体重減少があれば早期に受診する。

食物繊維は一度に増やしてよいのか
少しずつ増やす。厚生労働省の資料は、まず1日3〜4グラムを無理のない範囲で足す方法を示している。食物繊維を増やす時は水分も取り、腹部の張りが強まる場合は量を見直す。

便意がなくても毎日トイレへ行くべきか
朝食後など落ち着いて座れる時間帯を決め、排便の習慣を整える方法がある。長くいきみ続けず、便意が来た時は我慢しない。

浣腸は便が出るまで繰り返してよいのか
繰り返さない。製品の添付文書にある回数と対象年齢を守り、効かない場合や激しい腹痛、吐き気、嘔吐がある場合は医師、薬剤師または登録販売者へ相談する。