アイルランド警察(Garda Síochána)は7月22日、英国領北アイルランドとの国境に近いモナハン県キャリックマクロス南方の国道N2で車を止め、後部座席のバッグから爆発装置を押収した。車を運転していた法曹志望の学生と、ダブリンの国立博物館に勤務する男が爆発物所持の罪で起訴された。
法廷で示された警察側の証言によると、装置には軍用級のプラスチック爆薬セムテックス(Semtex)394グラム、タイマースイッチ、作動可能な起爆装置が含まれていた。爆発物処理班が装置を調べ、周辺は一時避難となった。
防犯カメラに黒いバッグ 博物館職員を起訴
起訴されたのは、アイルランド国立博物館コリンズ・バラックス館に勤務するサイモン・オドノバン被告(44)である。警察側は、7月22日に被告が黒いバッグを持って勤務先を出た後、ダブリンの戦争記念庭園でイソベラ・ペリー・サリバン被告(25)と会い、バッグを渡した様子が防犯カメラに映っていたと説明した。
オドノバン被告は、1883年爆発物法4条に反する爆発物所持の罪で起訴された。特別刑事裁判所の保釈審理では、パトリック・マクグラス判事が証人や捜査への介入のおそれを認め、条件を付けても警察側の懸念は解消しないとして保釈を退けた。同罪の最高刑は禁錮14年と法廷で説明された。
学生には条件付き保釈 弁護側は「中身を知らなかった」
サリバン被告はキャリックマクロス近郊で止められた車を運転していた。アイリッシュ・タイムズの法廷報道によると、被告は法律を学び法廷弁護士を目指しており、トリム地区裁判所は警察の反対がある中で条件付き保釈を認めた。
条件は、独立した保証人による1万5000ユーロの保証、旅券の提出、警察が認める住所での居住、ナース警察署への毎日の出頭、午後9時から午前7時までの外出禁止などである。New IRA(New IRA)や政治団体サオラドの関係者との接触も禁じられた。
弁護側は、被告が北部へバッグを運ぶよう頼まれ、中身を知らなかったと主張した。「操られた」との説明も出したが、いずれも弁護側の主張であり、証拠を踏まえた裁判所の認定ではない。
New IRAとの関連は捜査側の主張
警察側はオドノバン被告について、保釈されればNew IRAの目的に沿う活動を続けるおそれがあると主張した。New IRAは、1998年のベルファスト合意による和平路線に反対する武装組織である。ただし、今回の装置が同組織の指示で運ばれたことや、2人が組織の一員であることは判決で認定されていない。
アイリッシュ・ニュースによると、ジャスティン・ケリー警察長官は押収を「極めて重大」と表現し、捜査関係者は装置を高度で精巧なものとみている。装置がどこから来たのか、運搬先と目的は何だったのかは捜査中である。
起訴後に残る争点
オドノバン被告への保釈却下とサリバン被告への条件付き保釈は、刑事責任を確定する判断ではない。今後の審理では、防犯カメラ映像や押収物に関する警察側の立証と、被告側の反論が検討される。日本の公的機関が押収や訴追内容を独自に確認した公表資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。
よくある質問
車から何が見つかったのか
警察側の法廷証言では、セムテックス394グラム、タイマースイッチ、作動可能な起爆装置を組み込んだ装置が後部座席のバッグから見つかった。
2人の保釈判断はどうなったのか
特別刑事裁判所はオドノバン被告の保釈を退けた。トリム地区裁判所はサリバン被告に旅券提出、毎日の警察署への出頭、夜間外出禁止などの条件を課して保釈を認めた。
New IRAの関与は確定したのか
確定していない。警察側は保釈審理で同組織との関連を主張したが、組織的な関与について裁判所の最終判断は出ていない。
出典・参考資料
- Law student (25) granted bail and man (40) charged over car bomb seized in Co Monaghan(The Irish Times)サリバン被告の起訴、車内での爆発物発見、弁護側の説明、条件付き保釈の内容を伝えた法廷報道
- Dublin man allegedly stored explosive device at Collins Barracks National Museum, court hears(TheJournal.ie)押収物の構成、オドノバン被告の勤務先と移動、適用法、保釈却下、警察側が示したNew IRAとの関連を伝えた法廷報道
- Cross border bomb suspect works for Irish government funded body(The Irish News)国境近くでの押収、警察長官の発言、装置に対する捜査関係者の評価、サリバン被告の保釈条件を伝えた報道