上海協力機構(Shanghai Cooperation Organisation、SCO)の第26回首脳会議は、2026年8月31日から9月1日までキルギスの首都ビシュケクで開かれている。加盟国の調整担当者は首脳が署名する文書一式を会議直前まで協議した

中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、インドのナレンドラ・モディ首相らがビシュケクに入り、8月31日にはプーチン氏が習氏、モディ氏とそれぞれ会談した。中国とロシアはSCOを非欧米諸国との連携を示す場としてきたが、10加盟国は統一した政治・軍事ブロックではない。

10加盟国──中央アジアの正式加盟は4カ国

外務省の一覧では、加盟国はインド、イラン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、中国、パキスタン、ベラルーシ、ロシアの10カ国である。アフガニスタンとモンゴルはオブザーバー国に位置づけられている

SCOは2001年、中国、ロシアと中央アジア4カ国が設けた安全保障フォーラムとして発足した。加盟国はその後10カ国へ増え、中国は開発・金融支援にも組織の役割を広げようとしてきた。中央アジア5カ国のうち、トルクメニスタンは加盟していない。

上海協力機構首脳会議で並ぶ各国首脳
2018年6月10日に撮影された上海協力機構首脳会議の出席者。現在の10加盟国とは構成が異なる。(Kremlin.ru、Wikimedia Commons、CC BY 4.0

2026年会議──署名文書は最終調整中

中国政府は8月26日、習氏が8月30日から9月3日までSCO首脳会議への出席とキルギス、エジプト訪問に臨み、加盟国首脳と組織内の協力、グローバル・ガバナンス改革、国際・地域情勢を協議すると発表した。これは中国側が事前に示した会議の位置づけであり、加盟国が採択した成果文書ではない。

8月31日は首脳間の個別会談が先行した。AP通信によると、プーチン氏は習氏に中国との査証免除措置を恒久化する用意があると伝え、モディ氏とは印ロ関係を協議した。イランのペゼシュキアン大統領との会談は、正式会議が開かれる9月1日に予定されていた。

SCO事務局が9月1日に公表した資料でも、各国調整担当者が首脳の署名に向けた文書を審査した段階までが確認できる。最終宣言、署名文書の全一覧、実施日程は本稿の執筆時点で公表されていない。予定された議題と決定済みの政策は分けて読む必要がある。

安全保障機構だが軍事同盟ではない

SCO事務局は、組織に超国家的な司令機関や共同軍部隊がないことを根拠に、SCOは軍事ブロックではないと説明している。加盟国の一国が攻撃された際に全加盟国が共同防衛する集団防衛条約とは仕組みが異なる。

軍事同盟ではなくても、安全保障協力は組織の中心にある。同じ公式概要には、安全保障会議書記、国防相、内相、法相らの会合と、テロ、過激主義、分離主義に対処する地域反テロ機構(Regional Anti-Terrorist Structure、RATS)が挙げられている。「軍事同盟ではない」と「安全保障機能がない」は同じ意味ではない。

AP通信は、加盟国には大きな意見の隔たりと固有の利害があり、SCOは統一した政治・軍事ブロックではないと報じた。中国の影響が強い一方、インドは中国、パキスタンの双方と競争関係にある。首脳の出席は、中国やロシアが掲げる国際秩序像への一括した賛同を意味しない。

日本から見る論点──警務協力と規範形成

防衛省防衛研究所の「中国安全保障レポート2025」は、中国が2001年にSCOで国際的な警務協力を始め、その後は周辺国との共同法執行パトロールや他の発展途上地域へ協力を広げたと分析する。対象には経済犯罪、運輸、国際組織犯罪、テロ対策、汚職取り締まりが含まれる

同報告は、教育訓練や技術供与が受け入れ国の治安能力と社会の安定に寄与する面を認める一方、権威主義国では民主的な社会を圧迫し、政治体制を硬直化させるおそれを挙げた。ただし、技術や能力構築支援の受け入れが直ちに中国式統治モデルの拡散を意味するわけではないとも指摘する。報告の分析は執筆者の見解で、日本政府や防衛省の公式見解ではない。

日本からSCOを捉える際の確認対象は、首脳宣言の表現に加え、新たな組織、予算、期限、参加国が決まるか、各国が国内措置へ移すかである。2026年ビシュケク会議が日本の安全保障政策へ及ぼす直接の影響を評価した日本政府の公表資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。最終文書の公表前は、日本やアジア太平洋への具体的な影響を確定した事実とは扱えない。

よくある質問

上海協力機構の加盟国は何カ国か
加盟国は10カ国である。中央アジアの正式加盟国はカザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの4カ国で、トルクメニスタンは含まれない。

上海協力機構は軍事同盟なのか
制度上は軍事同盟ではない。SCOは超国家的な司令機関や共同軍部隊を持たないと説明している。ただし、反テロ、法執行、防衛当局間の協力を担う安全保障機構である。

2026年首脳会議の成果は確定したのか
確定していない。本稿の執筆時点で首脳署名文書は最終調整中で、最終宣言と実施日程は公表されていない。

日本は上海協力機構の加盟国なのか
加盟していない。日本からは、中国の多国間外交に加え、警務・安全保障分野の合意が具体的な制度や事業へ移るかが確認点となる。