第55回太平洋諸島フォーラム(Pacific Islands Forum、PIF)首脳会議と関連会合は、2026年8月30日から9月4日までパラオのコロールで開かれる。主催テーマは「B.E.L.A.U.(Building Economies: Life. Action. Unity.)」で、パラオ政府は強靱で一体的な「ブルーパシフィック」を会合の軸に据えた

首脳級の出席はそろわない。フィジー、バヌアツ、サモア、ソロモン諸島の首相とキリバス大統領の計5首脳は出席せず、閣僚や高官が代理を務める。ソロモン諸島首相は不信任案に対応するため到着後に帰国し、キリバス政府は国会日程と限られた航空便を理由に挙げた

5首脳の欠席──国の不参加とは異なる

首脳が欠席する5か国も代表団を送るため、国単位で会議から離脱したわけではない。フィジー、バヌアツ、サモアの首脳が出席しない個別事情は、公開情報だけでは全体を確認できない。

日本外務省の概要によると、PIFは16か国と仏領ポリネシア、ニューカレドニアの2地域で構成され、政策の意思と方向性をコンセンサスで決める。首脳級の不在が交渉の政治的な重みにどう表れるかは、会期末のコミュニケが出るまで確定しない。

議題──気候、海洋、安全保障を実行段階へ

クック諸島首相府が公表した議題には、「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」の第3次年次報告、地域平和・安全保障行動計画(2026〜30年)、バカマヌ地域太平洋漁業戦略(2026〜35年)、2026年PIF首脳海洋声明、COP31太平洋パートナーシップの進捗、「パートナーシップに関する首脳方針」(Leaders Policy on Partnerships)の運用が並ぶ

いずれも会合で検討される項目であり、採択済みの成果ではない。気候変動と海洋管理に加え、地域安全保障や域外国との関係をどの文言でまとめるかが、16か国・2地域の合意形成を測る材料となる。

気候資金──初回公募は開始予定の段階

オーストラリアとフィジーは2026年5月6日、太平洋強靱化ファシリティ(Pacific Resilience Facility、PRF)設立条約の批准書をPIF事務局へ寄託した。オーストラリア政府はPRFを太平洋地域が主導し、所有・運営する地域社会向けの強靱化資金制度と位置づけ、気候変動への適応、防災、損失と損害への対応に助成すると説明した。初回公募はパラオ会合で始まる予定である

公募開始の予定と、案件の採択は別の段階だ。本稿の執筆時点では、採択案件、案件ごとの配分額、資金交付の時期は公表されていない。

パラオのコロール島を写した衛星画像
本会合の開催地となるパラオ・コロール島の衛星画像。(Sentinel-2 cloudless 2016 by EOX IT Services GmbH、Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0

日本の位置──域外国対話の相手

日本はPIFに加盟していない。外務省資料では、1989年から域外国対話に参加している。台湾は同じ区分ではなく、1993年から開発パートナーと位置づけられている。

パラオ政府の日程表も、9月1日の「域外国対話の相手との首脳対話」、2日のPIF首脳本会議、同日夕方の「開発パートナー対話」を別枠で示す。首脳本会議はPIF加盟国・地域、準メンバー、太平洋地域機関評議会に限定され、域外国対話の相手は参加対象に含まれない

ABC Newsは、台湾の林佳竜外交部長(外相)がパラオ入りし、中国が台湾側の参加に反発したと報じた。台湾は開発パートナーとして太平洋で外交関係を持つ国々と会合を開くが、域外国対話の相手との首脳対話には加わらない取り決めである。日本と台湾は共に域外から関与するが、PIFでの位置づけと参加枠は異なる。

2027年の太平洋・島サミットへ続く日本の課題

日本政府は2024年の第10回太平洋・島サミット(Pacific Islands Leaders Meeting、PALM10)で、PIFの2050年戦略に沿う7分野を重点協力分野とした。気候分野では、防災能力の強靱化、脱炭素化、島嶼国自身の取組への支援を柱とする「太平洋気候強靱化イニシアティブ」を表明した

茂木敏充外相は2026年6月、ウィップス大統領との懇談で、2027年に日本で開く第11回太平洋・島サミット(PALM11)と、それに先立つ中間閣僚会合に向けてパラオと緊密に連携する考えを示した。今回のPIFでまとめる気候、海洋、地域安全保障、パートナー政策は、PALM11で日本側が受け止める地域の優先事項になる。

一方、第55回会合に派遣される日本政府代表者を明記した外務省の公表資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。日本側の発言内容や具体的な約束は、代表者の発表と会合後の公表資料を待つ必要がある。

会期末に確認する3点

第1は、地域平和・安全保障行動計画、漁業戦略、海洋声明が採択されるかである。第2は、PRFの初回公募に応募条件、対象額、選定日程が付くかである。第3は、域外国対話と開発パートナー対話の参加方式を、パートナーシップに関する首脳方針がどう整理するかである。

最終コミュニケは本稿の執筆時点で公表されていない。予定や各政府の立場と、16か国・2地域がコンセンサスで採択する合意文書は分けて読む必要がある。

よくある質問

太平洋諸島フォーラムには誰が加盟しているのか
PIFはオーストラリア、ニュージーランド、太平洋島嶼国を中心とする16か国と、仏領ポリネシア、ニューカレドニアの2地域で構成される。

日本はPIFに加盟しているのか
加盟していない。日本は1989年から域外国対話の相手としてPIFと協議している。

台湾は日本と同じ域外国対話の相手なのか
同じ区分ではない。日本は域外国対話の相手、台湾は開発パートナーで、パラオ政府の日程も両者の対話枠を分けている。

首脳5人の欠席で会議は無効になるのか
無効にはならない。各国は閣僚や高官を代理に送り、会議は続く。ただし、首脳級の不在が最終合意へ及ぼす影響は、コミュニケの公表前には判断できない。