鼻づまりは、鼻の粘膜が腫れたり、粘りのある鼻汁がたまったりして空気の通り道が狭くなった状態だ。かぜ、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など原因は一つではなく、小児ではアデノイドが関わる場合もある。

呼吸が普段どおりで全身状態に異常がなければ、生理食塩水による鼻洗浄は症状を和らげる選択肢になる。ただし、水道水をそのまま使わず、洗浄液の濃度や温度、器具の衛生管理を守る必要がある。

先に確認する警告サイン

鼻づまりと同時に急な息切れや呼吸困難がある場合は、鼻だけの症状として扱わず119番へ連絡する。子どもでは、唇が紫色、顔色が明らかに悪い、激しいせきやゼーゼーを伴って呼吸が苦しそう、呼吸が弱い、意識がはっきりしないといった状態が該当する。厚生労働省の救急車利用案内は、成人の急な息切れ・呼吸困難と、子どもの紫色の唇や呼吸苦、弱い呼吸を119番通報の目安に挙げている

突然の激しい頭痛や高熱、意識の変化、著しい全身状態の悪化がある場合も、家庭で鼻洗浄を続けず速やかに医療機関へ相談する。免疫機能が低下している人で症状が悪化した場合も早期の評価が要る。

発熱と体調不良を伴う人が額に手を当てる様子(イメージ)

生理食塩水で洗う前に確認すること

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、生理食塩水による鼻洗浄が有効な場合がある一方、洗浄液の温度、食塩濃度、方法を誤ると鼻粘膜や耳を傷める可能性があるとして、耳鼻咽喉科医の指導下で行うよう案内している。初めて行う人、耳の痛みや鼻血がある人、鼻の手術後の人は、自己流で始めず医師へ確認する。

水道水をそのまま鼻へ入れない。 市販の洗浄液を使うか、製品の説明に従って蒸留水、滅菌水、または十分に煮沸して冷ました水を使う。米食品医薬品局(FDA)は、鼻洗浄に水道水を直接使わず、蒸留水、滅菌水、または3〜5分煮沸して人肌程度まで冷ました水を使うよう示している。免疫機能が低下している人は、鼻洗浄の前に医療者へ相談する。

生理食塩水と清潔な専用器具を使う。 真水は鼻粘膜を刺激するため避ける。手を洗い、清潔で乾いた器具へ洗浄液を入れ、製品が指定する姿勢と手順を守る。使用後の器具は洗って内部まで乾燥させ、家族で共用しない。痛み、耳の違和感、鼻血が出た場合は中止する。

浴室の湿った空気の中で鼻づまりを和らげる人(イメージ)

休息と水分補給、鼻のかみ方

軽い副鼻腔炎では、休息、水分補給、アレルギーの誘因を避けること、禁煙、食塩水による鼻の洗浄がセルフケアの範囲になる。英国の国民保健サービス(NHS)は、軽い副鼻腔炎の自宅対応として休息と水分補給、禁煙、食塩水による鼻の洗浄を挙げ、強い全身症状や悪化、免疫機能の低下がある場合は緊急の医療相談を求めているNHSの呼吸器感染症案内は、やけどの危険があるため、子どもに熱湯を入れたボウルから蒸気を吸わせないよう注意している

鼻汁は両側を一度に強くかまず、片方ずつ静かに出す。強く吸い込んで喉へ流し続ける方法も避ける。鼻汁が取れない、耳が痛む、聞こえにくいといった症状が加わった場合は耳鼻咽喉科へ相談する。

市販の点鼻薬は成分と使用期間を確認

市販の点鼻薬は、成分によって働きと使用期間が異なる。「鼻づまり用」という表示だけで同じ薬とは判断できない。血管を収縮させる充血除去薬は、長く使うと薬剤性鼻炎を起こし、かえって鼻づまりが強くなる場合がある。

NHSは充血除去薬の点鼻薬や点鼻液を5日を超えて使わないよう案内し、長期使用で鼻づまりが悪化する可能性を示している。この「5日」は英国の一般的な案内であり、日本の全製品に共通する使用期限ではない。日本で使う際は、箱と添付文書に記載された年齢、回数、期間を優先し、不明点は薬剤師へ確認する。

手に持った市販の点鼻薬を確認する様子(イメージ)

長引く、繰り返す、片側だけなら受診

鼻づまりが長引く、繰り返す、嗅覚の低下や粘りの強い鼻汁、顔面痛を伴う場合は耳鼻咽喉科を受診する。片側だけの鼻づまりが続く場合も、鼻中隔の形態や鼻茸などを含め、鼻の奥まで確認する必要がある。黄色や緑色の鼻汁だけで細菌感染と決めつけたり、抗菌薬が必要だと判断したりはできない。

子ども、妊婦、持病や常用薬のある人

子ども。 鼻は片方ずつ静かにかませる。自力でかめない幼児では、年齢に合った器具で鼻汁を吸い取り、大人が口で直接吸わない。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、幼児には片方の鼻を塞いでもう片方から静かに息を出す練習を勧め、かめない場合は器具を使い、保護者の口で直接吸わないよう案内している。鼻洗浄は子どもが無理なく扱える器具かを小児科または耳鼻咽喉科へ確認する。

妊婦、授乳中の人。 市販薬や点鼻薬を使う前に、妊娠・授乳中であることを医師または薬剤師へ伝える。海外では妊娠中の充血除去薬を医療者の指示がある場合に限る案内があるが、日本の個々の製品の可否は成分と添付文書で異なる。処方薬を自己判断で中止しない。

持病や常用薬のある人。 高血圧、心臓・循環器の病気、糖尿病、甲状腺機能亢進症、緑内障、肝臓・腎臓の病気がある人や、抗うつ薬などを服用している人は、充血除去薬の使用前に医師または薬剤師へ相談する。複数の総合感冒薬や鼻炎薬を重ねると同じ成分を重複して使うおそれがある。

妊婦、授乳中の人、慢性疾患や常用薬のある人に共通する鼻づまりの非薬物対応をまとめた国内の公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。一般成人向けの手順を一律に当てはめず、症状と背景を医療者へ伝える。

妊婦が自宅で休みながら鼻づまりに対処する様子(イメージ)

よくある質問

鼻づまりには最初に何をするのか
呼吸困難や意識の変化がないかを先に確認する。全身状態が安定していれば休息と水分補給を取り、生理食塩水による鼻洗浄を選ぶ場合は水、濃度、温度、器具の衛生管理を守る。

鼻洗浄に水道水をそのまま使ってよいのか
使わない。市販の洗浄液、蒸留水、滅菌水、または十分に煮沸して冷ました水を使い、器具は使用後に洗浄して完全に乾かす。

市販の点鼻薬は毎日使い続けてよいのか
成分と製品ごとに異なる。充血除去薬の長期使用は鼻づまりを悪化させる場合があるため、添付文書の期間を超えず、改善しない場合は薬剤師または医師へ相談する。

いつ耳鼻咽喉科を受診するのか
症状が長引く、何度も繰り返す、片側だけ強い、嗅覚低下、粘りの強い鼻汁、顔面痛、耳の痛みを伴う場合が目安になる。急な呼吸困難や子どもの紫色の唇は耳鼻咽喉科の通常受診を待たず119番へ連絡する。