オーストラリアの野生鳥で、高病原性鳥インフルエンザ(Highly Pathogenic Avian Influenza、HPAI)のH5亜型の確認が200件を超えた。南オーストラリア州Baudin Rocksでは同国初のH5鳥インフルによる野生動物大量死が確認され、沿岸のオオアジサシからギンカモメなどへ検出鳥種が広がっている。

Baudin Rocks──80羽超の病鳥・死鳥から大量死を確認

南オーストラリア州南東部、Cape Jaffa沖のBaudin Rocksでは、8月初めの上空調査で80羽を超す病鳥と死鳥が見つかった。対象の中心はオオアジサシ(greater crested tern)だった。

豪農業・漁業・林業省は8月4日、Baudin Rocksで採取した6検体のうちオオアジサシ5羽とギンカモメ1羽から陽性を確認し、この事例を豪州初のH5鳥インフルによる野生動物大量死と発表した。同日時点の確認または推定陽性は全国102件だった

検出件数と死亡羽数は同じ数字ではない。当局は大量死の原因を特定するため、現地の病鳥・死鳥すべてを採取する必要はないとしている。したがって、検査で陽性となった件数だけでは、Baudin Rocksでの被害規模を測れない。

海辺で水を飲むギンカモメ(イメージ)
海辺で水を飲むギンカモメ。(Photo by John Robert McPherson, CC0 1.0, via Wikimedia Commons)

ギンカモメで初確認、検出鳥種と地点が拡大

Robeで見つかったギンカモメは8月1日に陽性が確認され、豪州で同種からH5鳥インフルが検出された初の事例となった。翌2日にはRobeの別のギンカモメも陽性となった。

その後も確認は増えた。豪農業・漁業・林業省の時系列発表では、8月6日にビクトリア州でギンカモメ1羽とカササギフエガラス1羽を含む16件、7日に南オーストラリア州Southendのギンカモメ3羽、8日には同州のギンカモメ2羽が新たに確認された。全国の確認または推定陽性は8月8日に203件へ達し、9日にはCarpenter Rocksのオオアジサシでさらに5件が確認された。

ただし、8月9日の発表は追加5件を示す一方、更新後の全国総数を記載していない。検出地点と鳥種の増加は監視で得られた結果であり、未検査の個体を含む実際の感染規模や、今後どこまで広がるかを示すものではない。

家禽での検出なし、人へのリスクは「低い」

豪当局は8月9日時点で、家禽や農業生産系からH5鳥インフルは検出されていないとしている。人の健康へのリスク評価も「低い」のままだ。ただし、低リスクは接触時の危険がないという意味ではなく、病鳥や死鳥には近づかない対応が前提になる。

豪気候変動・エネルギー・環境・水省は、H5鳥インフルが海外で数百万羽の野鳥と数万頭の野生哺乳類を死なせたと説明し、豪州ではオーストラリアアシカや、一つの繁殖地・ねぐらに集まる鳥種への影響を警戒している。病気または死亡した野生動物の群れを見つけた場合は、触れずに距離を取り、日時と場所を記録して緊急動物疾病ホットラインへ通報するよう求めている

日本で死んだ野鳥を見つけた場合

豪州の流行と日本国内の発生状況は分けて捉える必要がある。豪州の今回の流行が日本の野鳥や家禽へ直接影響したことを示す日本政府の資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。

農林水産省は、野鳥が死んでいても直ちに鳥インフルエンザを疑う必要はないとしたうえで、死骸を素手で触らず、処分方法を近くの都道府県や市町村役場へ相談するよう案内している

よくある質問

Baudin Rocksでは何が確認されたのか
80羽を超す病鳥・死鳥が見つかり、採取したオオアジサシ5羽とギンカモメ1羽から陽性が確認された。豪当局は8月4日、国内初のH5鳥インフルによる野生動物大量死と発表した。

豪州の陽性件数は何件か
確認または推定陽性は8月8日時点で203件だった。8月9日にはさらに5件が発表されたが、同日の公式発表に更新後の総数は明記されていない。

人や家禽への影響は出ているのか
8月9日時点で家禽と農業生産系での検出はなく、豪当局は人へのリスクを低いと評価している。病鳥や死鳥には触れず、豪州では専用ホットライン、日本では自治体へ連絡する。