オーストラリアの新進作家フェスティバル(Emerging Writers’ Festival、EWF)に、台湾の先住民族作家3人が登壇する。Ado Kaliting Pacidal、Neqou Soqluman、Apyang Imiqは、9月13日の討論3件と15、17日の公演2件に分かれて出演する。

EWFが公表した2026年の会期は9月10日から18日までの9日間で、メルボルン市内と郊外、州外、オンラインに企画を展開する。台湾から参加する3人の企画は、いずれもメルボルン市内で組まれている。

3人の創作領域──民族ごとの経験を持ち寄る

Adoは台湾東部の先住民族Pangcah出身で、演出、製作、音楽、演技、執筆に携わる。Neqouはブヌン族の作家・小説家で、系譜、狩猟文化、海を渡る伝承を作品で扱う。Apyangはタロコ族の作家・小説家で、村落文化、植物知、土地との結びつきを執筆の軸とする。

3人は同じ「台湾先住民族作家」の枠で紹介されるが、民族、活動媒体、作品の主題は異なる。個々の発言を台湾の先住民族全体の見解へ広げず、各作家の創作背景として読む必要がある。

9月13日の討論──生計、書く倫理、物語の技法

EWFの中心企画である全国作家会議(National Writers’ Conference、NWC)は9月12、13日にThe Wheeler Centreで開かれ、創作技法、出版、文芸界の実務を扱う。台湾の3人は2日目に連続する討論へ1人ずつ加わる。

午前11時30分の「A Writer’s Livelihood」にはAdoが出演し、執筆と他分野の仕事の関係、時間と収入、優先順位、妥協の判断を豪州の作家3人と話す

午後1時45分の「Writing Responsibly」にはNeqouが出演し、自分とは異なる境遇の人物を書く際の感受性、倫理、当事者との相談、配慮を議題とする

午後3時の「How to Tell a Story」にはApyangが登壇し、Melanie Cheng、Raeden Richardson、Michael Winklerと小説の構成や物語技法を検討する

二つの公演──故郷と「頼まれない助言」

9月15日午後8時の「Tapestries of Home」にはAdoとNeqouが出演する。会場はBrunswickのBalam Balam Placeで、故郷と人、場所、儀礼、伝統の結びつきを扱う。豪州側からはWiradjuriとアイルランドにルーツを持つBria McCarthy、GamilaraayのElise Thornthwaite、MurramarangのAaron Taylorらが加わる

9月17日午後8時には、ApyangがNorthcoteのJolt Artsで「Priceless Advice」に出演する。7人の作家が、求めていないのに受けた助言や、反発を創作の推進力に変えた経験を取り上げる

日本から見る場合──時差は1時間、通訳は中国語

ビクトリア州政府によると、夏時間は10月第1日曜日に始まる豪州気象局はビクトリア州の豪州東部標準時をUTC+10としている情報通信研究機構によると、日本標準時はUTC+9であるため、9月13日のメルボルンは日本より1時間進む。討論3件の日本時間は順に同日午前10時30分、午後0時45分、午後2時となる。

3討論はいずれもライブ配信され、チケット保有者には事前に視聴リンクが届く。公式ページは中国語のリアルタイム通訳を明記する一方、日本語通訳や日本語字幕には触れていない。15日と17日の公演ページにもオンライン配信の記載はない。

確認できるのは出演予定まで

EWFの公開資料が裏付けるのは、5企画の日時、会場、出演者、企画内容である。英訳抜粋冊子の配布や11月に台湾で行う相互交流は、豪州側の公式資料では確認できない。日本の出版社、文学祭、翻訳機関が本企画に参加することを示す公表資料も、本稿の執筆時点で確認できていない。

開幕前のため、観客数、作品の閲覧、翻訳出版、版権交渉の成果はまだ測れない。5企画への出演は作家と豪州の聴衆が接する機会だが、海外出版の成立を意味しない。会期後に主催者や出版社が公表する実績とは分けて扱う必要がある。

よくある質問

2026年のEmerging Writers’ Festivalはいつ開かれるのか
9月10日から18日までの9日間である。メルボルン市内と郊外のほか、州外とオンラインにも企画がある。

台湾から出演する作家は誰か
Ado Kaliting Pacidal、Neqou Soqluman、Apyang Imiqの3人である。それぞれPangcah、ブヌン族、タロコ族の背景を持つ。

日本からオンラインで見られるのか
9月13日の討論3件にはライブ配信があり、視聴リンクはチケット保有者へ事前に送られる。15日と17日の公演については、公式ページで配信を確認できない。

日本語通訳はあるのか
公式案内が明記するのは中国語のリアルタイム通訳である。日本語通訳や日本語字幕の案内は、本稿の執筆時点で確認できていない。

今回の出演で英訳出版は決まったのか
決まったとは確認できない。出演日程と出版契約は別の段階で、活動後の翻訳出版や版権交渉の実績はまだ公表されていない。