米疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は2026年8月12日、コンゴ民主共和国、ウガンダ、南スーダンへの滞在歴に基づく入国制限をさらに30日延長した。CDCの命令一覧によると、制限は5月18日に始まり、5月22日の修正を経て、6月21日、7月13日、8月12日に継続命令が出された。8月の決定は3度目の延長に当たる。

制限の基準は旅券を発行した国ではなく、米国へ向かう前の滞在歴である。対象国を経由した日本の旅行者や出張者にも関係する一方、米国市民・米国民への扱いは別の運用を伴う。

対象は3カ国の滞在歴 米永住者も含む

命令の法的根拠は、米公衆衛生サービス法362条と365条、連邦規則集42編71.40条である。8月12日の命令は、過去21日間にコンゴ民主共和国、ウガンダ、南スーダンのいずれかに滞在していた「対象外国人」に適用し、米国の合法的永住者も含める一方、米国市民・米国民、一定の軍関係者や政府職員、個別に認められた人を例外としている

このため、米国市民・米国民などの例外に該当しない日本国籍者も、直近21日間に3カ国のいずれかへ滞在していれば対象となる。対象者の出身国は要件を変えない。人道上または公衆衛生上の事情などに基づく個別例外はあるが、自動的に認められる仕組みではない。

防護用手袋を着けた検査担当者が生物安全キャビネットで検体チューブを扱う様子(イメージ)
入国時の判断には、症状の確認と渡航歴の把握が用いられる。(イメージ)

米国市民は命令の例外 コンゴ滞在者には別の搭乗制限

公衆衛生サービス法に基づく命令から除外されても、すべての渡航上の制約がなくなるわけではない。CDCが8月12日に更新した旅行者向け案内は、米国市民・米国民を含め、出発前21日以内にコンゴ民主共和国に滞在した人を米国行き民間便に搭乗させず、ウガンダまたは南スーダンだけに滞在した米国市民・米国民は指定4空港で入国時検査を受けるとしている

指定空港はワシントン・ダレス、アトランタ、ヒューストン、ニューヨークのジョン・F・ケネディの4空港である。命令による外国人の入国停止と、米国市民・米国民を含む搭乗・検査の運用は法的な位置づけが異なる。「命令の例外」は「渡航上の制約なし」を意味しない。

ウガンダは終息宣言 指定継続はコンゴからの再流入を警戒

8月12日の命令は、ウガンダで確認された感染20例のうち15例がコンゴ民主共和国からの輸入例、5例が関連する二次感染で、確定例の死亡は2人だったと記録する。最後の確定例は6月21日で、ウガンダ政府は7月28日に国内流行の終息を宣言した。南スーダンでは今回の流行による確定例が報告されていない。

それでもCDCは両国を対象から外さなかった。コンゴ民主共和国では、7月13日時点の確定例1873例、死亡672人から、8月9日には確定例4318例、死亡2011人へ増えた。命令は、国境を越える人の移動によりコンゴ民主共和国からウガンダへ再び感染が持ち込まれる可能性と、南スーダンへ広がる危険を指定継続の根拠に挙げる。ウガンダ国内の感染連鎖が止まったとの判断と、地域をまたぐ流入リスクの評価は別である。

日本政府の邦文資料は更新未確認 最新条件はCDCに掲載

在ウガンダ日本国大使館が5月29日に出した注意喚起は、米国が過去21日以内に3カ国を訪れた外国人の渡航を禁じた初回措置を日本語で案内している。一方、8月12日の延長と米国市民・米国民向けの別措置まで反映した日本政府の邦文資料は、本稿執筆時点で確認できていない。米国への渡航条件はCDCの最新案内が基準となる。

米国の入国制限とは別に、日本へ戻る際の検疫手続もある。厚生労働省の検疫所は、コンゴ民主共和国またはウガンダに滞在した人に入国時の申告を求め、滞在歴や接触歴に応じて健康監視などの措置を実施すると案内している。米国へ向かう旅程と日本へ帰国する旅程では、確認する制度と対象国が同一ではない。