緊張型頭痛(Tension-type headache)は、頭の両側を圧迫される、または締めつけられるように痛む一次性頭痛だ。典型的には軽度から中等度で、歩行や階段の昇降などの日常動作では悪化しない。

ただし、頭痛の感じ方だけで原因は確定しない。いつもの頭痛と違う、急に始まった、神経症状を伴う場合は、運動や温熱を試す前に救急対応の要否を判断する。

突然の激痛や神経症状は119番

突然の激しい頭痛、急に立てないほどのふらつき、片側の手足の脱力やしびれ、顔のゆがみ、ろれつが回らない、見える範囲が狭い、物が二重に見える、意識がおかしい、止まらないけいれんがあれば119番へ連絡する。自分で車を運転して受診しない。総務省消防庁は、突然の激しい頭痛に加え、片側の脱力、言葉や視覚の異常、意識障害、止まらないけいれんを救急車を呼ぶ目安としている

突然の高熱、頭を強く打った後の頭痛、冷や汗を伴う強い吐き気も救急相談の対象になる。119番を呼ぶか迷う地域では、利用可能なら救急安心センター事業「♯7119」へ相談する。

救急外来の入口と案内表示(イメージ)

締めつける痛みでも自己診断しない

日本頭痛学会は、緊張型頭痛を両側性の圧迫感または締めつけ感があり、軽度から中等度で、日常動作では悪化せず、通常は悪心や嘔吐を伴わない頭痛として解説している。片側の拍動する痛み、吐き気や嘔吐、光や音への強い過敏がある場合は別の種類の頭痛も考え、医療機関へ相談する。

頭痛が週に何度も起こる、痛みが強い、頻度や重症度が増えている、日常生活が制限される場合は受診する。発生日時、続いた時間、痛みの強さ、随伴症状、睡眠、使用した薬を記録しておくと経過を伝えやすい。

体を緩め、睡眠と首の負担を見直す

救急の兆候がなく、過去に経験した軽度から中等度の締めつける頭痛であれば、静かな場所で休み、肩の力を抜いて呼吸を整える。無理のない歩行やストレッチ、ヨガ、首や肩の軽いマッサージも選択肢になる。痛みが強まれば中止する。

英国の国民保健サービス(NHS)は、緊張型頭痛を和らげる方法として運動、ヨガ、マッサージを挙げ、睡眠問題が関係する場合は睡眠習慣を見直し、首の痛みを伴う場合は低く硬めの枕や温冷パックを試すよう案内している。温める場合も対象は首の痛む部位とし、頭部へ温熱器具を当てる方法は本稿では勧めない。

温熱器具や湯たんぽは同じ場所へ長時間当てない。就寝中は使わず、製品の取扱説明書にある加熱方法と使用時間を優先する。消費者庁は、湯たんぽを長時間体に接触させず、布団を温める用途では就寝前に取り出し、製品指定の加熱方法と時間を守るよう注意している

首の後ろに布で包んだ温熱器具を当てる人(イメージ)

鎮痛薬の回数を自己判断で増やさない

頭痛が繰り返すたびに鎮痛薬を使い、効きにくいと感じて回数を増やすと、薬剤の使用過多による頭痛へ移行する場合がある。日本頭痛学会は、鎮痛薬の使い過ぎで頭痛がさらに悪化する場合があると注意を促している。繰り返し薬が必要になる時は、追加使用を続ける前に医療機関へ相談する。

机に置かれた鎮痛薬と水の入ったコップ(イメージ)

子ども、妊婦、持病や常用薬のある人

子ども。 ぐったりしている、けいれんがある、意識がおかしい場合は救急車を呼ぶ。ろれつが回らない、手足がまひする、ふらついて正常に歩けない場合も直ちに医療機関を受診する。日本小児科学会の「こどもの救急」は、頭痛に伴う意識異常やけいれんを救急要請の目安とし、構音障害、四肢のまひ、歩行異常があれば直ちに受診するよう案内している。成人向けの温冷ケアをそのまま当てはめず、保護者が症状と経過を確認する。

妊婦、妊娠の可能性がある人。 休息、無理のない範囲のリラクセーションなど非薬物対応を先に検討する。薬を新たに使う場合や、すでに使っている薬を止める場合は自己判断せず、医師または薬剤師へ相談する。厚生労働省は、妊娠中に特別な注意が必要な薬や避けるべき薬がある一方、継続が必要な薬もあるため、開始や中断を自己判断しないよう求めている

持病、常用薬のある人。 市販薬を追加する前に、病名、処方薬、市販薬、健康食品を医師または薬剤師へ伝える。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、持病や治療中の薬がある人では使用できない薬や飲み合わせの問題があるため、薬剤師へ相談するよう案内している

子ども、妊婦、持病や常用薬のある人に共通する緊張型頭痛の非薬物対応をまとめた国内の公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。背景が異なる人へ成人一般の方法を一律に当てはめない。

診察室で頭痛について医師に相談する妊婦(イメージ)

よくある質問

突然の頭痛は自宅で休めばよいか
突然の激しい頭痛は119番の対象だ。片側の脱力、言葉や視覚の異常、意識障害、止まらないけいれんを伴う場合も直ちに救急車を呼ぶ。

首は温めるのと冷やすのとどちらがよいか
一律の正解はない。首の痛みを伴う場合は温冷パックを試す余地があり、心地よい方を短時間使う。温熱器具は製品の説明書を守り、就寝中や長時間の連続使用を避ける。

マッサージや運動で治るのか
痛みを和らげる選択肢であり、原因を確定したり治療したりする方法ではない。動くと痛みが増す、吐き気や嘔吐がある、光や音が強くつらい場合は別の頭痛も考えて受診する。

頭痛が繰り返す時はどうするのか
日時、持続時間、強さ、伴う症状、睡眠、薬の使用を記録し、医療機関へ相談する。鎮痛薬の回数を自己判断で増やさない。