しゃっくり(吃逆)は、呼吸に使う横隔膜が不随意に収縮し、直後に声帯が閉じて音が出る現象だ。多くは数分で自然に治まる。

米国国立医学図書館のMedlinePlusは、早食い、食べ過ぎ、炭酸飲料、飲酒、腹部の膨満、特定の薬、代謝や中枢神経系の異常などを誘因・原因の候補に挙げている。短時間のしゃっくりだけで原因を決めるのは難しく、まず継続時間と併発症状を確認する。

先に確認する119番の兆候

急に顔の片側が動きにくい、片方の腕や脚に力が入らない、ろれつが回らず話しにくい。 しゃっくりがあるかどうかにかかわらず、脳卒中などの緊急疾患を疑う症状であり、発症時刻を確認して119番へ連絡する。自分で車を運転して受診しない。

急な息切れや呼吸困難、胸の中央を締め付けられる、または圧迫される痛みが2〜3分続く。 意識がない、返事がおかしい、顔色が明らかに悪い場合も119番を優先する。総務省消防庁の救急車利用ガイドは、急な片側の脱力、顔の左右差、ろれつの異常、急な呼吸困難、2〜3分続く胸部圧迫痛、意識の異常を、ためらわず救急車を呼ぶ症状として示している

これらは「長いしゃっくりだから」救急になるのではなく、併発した症状自体が救急の目安になる。48時間という基準を待たない。

心配そうな表情でスマートフォンから救急連絡をする人(イメージ)

48時間を超えたら医療機関へ相談

しゃっくりが48時間を超えた場合は、救急兆候がなくても医療機関へ相談する。頻繁に再発して睡眠、食事、飲水、会話を妨げる場合も、48時間まで我慢する必要はない。英国の国民保健サービス(NHS)は、48時間を超えた場合と、頻繁に繰り返して生活へ影響する場合を受診の目安とし、長引くしゃっくりには病気や服用薬が関係することがあると説明している

診察では、始まった時刻、途切れた時間、食事や睡眠への影響、直前の手術や新しく始めた薬、ほかの症状を伝える。処方薬や市販薬を自己判断で増減・中止せず、お薬手帳や薬の一覧を持参する。

成人が短時間だけ試す方法

救急兆候がなく、始まって間もない成人では、冷水を少しずつ飲む、短時間だけ息を止める、膝を胸へ引き寄せて前かがみになる方法が候補になる。息苦しさやめまいが出たら直ちにやめる。むせやすい人は無理に水を飲まない。

NHSはこれらを家庭で試される方法として紹介する一方、全員に効く証拠はないとしている。MedlinePlusも、冷水や息止めなどに効果の証明はないと明記する。驚かせる、熱い物や刺激物を急いで飲み込むといった方法は避ける。

自宅の椅子に座り、冷水を少しずつ飲む成人(イメージ)

長引く場合は「止め方」より原因の確認

48時間以上続くしゃっくりは「持続性」と扱われ、睡眠や食事を妨げる。病気や薬が関係する場合は、その原因の評価と治療が中心になる。

Cochraneの系統的レビューは、48時間以上続く成人のしゃっくりについて、特定の薬物治療または非薬物治療を勧めるには証拠が不十分だと結論づけている。処方薬は原因、腎機能、ほかの病気や薬との関係を踏まえて医師が選ぶものであり、他人の薬を使わない。

薬と水の前で医療機関へ電話相談する人(イメージ)

乳幼児、妊婦、持病や常用薬のある人

乳幼児。 乳児のしゃっくりは珍しくない。授乳中に始まった場合は一度止め、姿勢を変えてげっぷを促し、落ち着いてから再開する。成人向けの息止め、冷水、膝を抱える方法を乳幼児に行わない。米国小児科学会の保護者向け情報は、授乳中のしゃっくりでは姿勢を変え、げっぷを促して落ち着かせ、治まってから授乳を再開する方法を案内している

唇が紫色になる、呼吸が弱いまたは苦しそう、嘔吐が止まらず水分を取れない、意識がはっきりしない場合は119番へ連絡する。しゃっくりが続いて哺乳や睡眠を妨げる場合は小児科へ相談する。

妊婦。 妊婦本人のしゃっくりに特化した国内の公的な家庭処置は、本稿の執筆時点で確認できていない。市販薬を新たに使わず、処方薬も自己判断で中止しない。厚生労働省は、妊娠中や妊娠の可能性がある人には使用を避けるべき薬がある一方、継続が必要な薬もあるため、薬の開始や中止を医師または薬剤師へ相談するよう求めている

持病や常用薬のある人。 病気や服用薬がしゃっくりに関係する場合があり、薬を自分で止めたり量を変えたりしない。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、持病、治療中の薬、妊娠・授乳、常用する市販薬や健康食品を薬剤師へ伝え、改善しない場合は医療機関を受診するよう案内している

乳児を縦抱きにして背中を優しくたたく保護者(イメージ)

よくある質問

しゃっくりは何時間続けば受診するのか
48時間を超えた場合は医療機関へ相談する。頻繁に再発し、睡眠、食事、飲水、会話を妨げる場合は48時間を待たず相談する。

すぐ119番へ連絡するのはどのような時か
急な片側の脱力、顔の左右差、ろれつの異常、急な呼吸困難、2〜3分続く胸部圧迫痛、意識の異常がある時だ。しゃっくりの長さではなく、併発症状を基準にする。

水を飲む、息を止める方法には効果があるのか
短時間のしゃっくりで試される方法だが、全員に効くと示す証拠はない。冷水は少しずつ飲み、息止めで苦しさやめまいが出たら中止する。

止まらない時に市販薬や家族の処方薬を使ってよいのか
使わない。長引く場合は病気や服用薬が関係する可能性があり、原因の評価が先になる。処方薬の選択と変更は医師が行う。