日焼けは、太陽の紫外線を受けた皮膚に起きる炎症である。赤みや痛みは日光を浴びている最中より後から強くなる場合があり、気づいた時点で屋内か日陰へ移り、皮膚を冷やす。
米国皮膚科学会(American Academy of Dermatology)は、まず日光を避け、冷たいシャワーや入浴、冷たく濡らした布で痛みを和らげるよう勧めている。氷を皮膚へ直接押し当てるのではなく、冷たさが苦痛にならない範囲で冷やす。
先に確認する警告サイン
意識がもうろうとする、水分を自力で取れない、全身のけいれんがある、呼びかけへの反応や普段どおりの呼吸がない場合は119番へ連絡する。 日焼けの手当だけで済む状態とは限らず、熱中症への対応が要る。日本赤十字社は、水分を取れない、改善しない、様子がおかしい、全身けいれんがある場合に直ちに119番通報し、救急隊の到着前から冷却を始めるよう示している。
高熱、悪寒、吐き気がある、皮膚に膿や強い腫れが出た場合は、速やかに医療機関を受診する。 水ぶくれが広い範囲に及ぶ場合や破れた場合も、自宅だけで処置を続けない。総務省消防庁の全国版救急受診ガイドは、日焼けを含む水ぶくれの周囲に赤み、熱感、膿がある場合や、手のひら以上の水ぶくれが破れている場合を「今すぐ受診」の判定に置いている。
子どもでは、水ぶくれ、発熱、悪寒、頭痛、全身の不調があれば小児科医へ連絡する。 米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)の保護者向け資料は、これらの症状が出た場合は小児科医へ連絡し、広範囲の重い日焼けでは入院が必要になる例もあるとしている。
熱湯や火によるやけどの119番通報と受診の目安は別記事で整理している。日焼けと熱湯・火による熱傷では原因が異なるため、衣服や流水の扱いを一律に当てはめない。
最初の24時間に行う手当
1 日光を避ける。 屋内か日陰へ移り、傷んだ皮膚を衣服や日陰で覆う。冷却後も再び日光へさらさない。
2 冷たいシャワーか濡れた布で冷やす。 シャワーの後はこすらず、タオルを軽く当てて水分を取る。寒気が出るほど全身を冷やし続けない。
3 皮膚が少し湿っている間に保湿する。 AADはアロエベラか大豆由来成分を含む保湿剤を挙げている。成分が分からない外用剤、刺激を感じる製品、普段使った経験のない製品を重ね塗りせず、異常が出たら洗い流す。
4 水分を取る。 吐き気がなく、意識がはっきりして飲める場合は、少量ずつ水分を取る。吐いて飲めない、反応がおかしい場合は飲ませることに固執せず、119番へ連絡する。
5 水ぶくれを潰さない。 清潔を保ち、衣服との摩擦を避ける。自然に破れた、範囲が広い、周囲の赤みや腫れが増す、膿が出る場合は受診する。
避ける処置──氷、水ぶくれ、自己判断の外用剤
氷を直接当てない。 厚生労働省事業で作成された市民用指針は、氷や氷水による冷却でやけどが悪化する場合があるとしている。
水ぶくれを針や爪で破らない。 AADは、水ぶくれが皮膚の治癒を助け、感染から守るため、そのまま治すよう勧めている。破れた皮膚を引っ張ったり切ったりせず、清潔に保つ。
軟こうや油を自己判断で塗らない。 日本皮膚科学会の一般向け資料は、やけどへ油薬などを自己判断で塗ると後の治療に差し障る場合があるため、診察までは軟こうや油を塗らないよう案内している。一方、AADの現行資料は日焼けの水ぶくれを清潔に保ち、治癒中の保護にワセリンを使うとしており、一般向け資料の表現は一致していない。水ぶくれがある皮膚へ何を塗るかは、医師か薬剤師へ確認する。
子ども、妊婦、持病や常用薬のある人
乳児と子ども。 乳児の皮膚は成人より薄く、短い時間でも日焼けしやすい。米国小児科学会は乳児の重い日焼けを、直ちに医療を要する緊急事態としている。乳児に強い赤みや水ぶくれ、発熱、元気のなさがあれば、成人と同じ時間だけ様子を見ず、小児科医へ連絡する。
妊婦。 消防庁の救急受診ガイドでは、水ぶくれがなく赤みと痛みだけの比較的軽い区分でも、妊娠中は当日または翌日の通常時間に受診する判定となる。妊婦固有の冷却方法や鎮痛薬の選択を詳述した国内の公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。日光を避けて冷やした後、産科か受診先へ連絡し、薬を使う前に医師か薬剤師へ確認する。
持病や常用薬のある人。 光への反応を強める薬があり、脱水時の対応も持病や薬で変わる。糖尿病、腎臓病、免疫機能に関わる病気がある人や、新しい薬を飲み始めてから日焼け様の症状が出た人は、一般成人の手当だけで経過を見ず、処方元か医療機関へ相談して薬の名称を伝える。自己判断で常用薬を中止しない。
よくある質問
日焼けに気づいた直後は何をするのか
日光を避け、冷たいシャワーか冷たく濡らした布で皮膚を冷やす。シャワー後はこすらず水分を取り、皮膚が少し湿っている間に刺激の少ない保湿剤を使う。
水ぶくれは潰すのか
潰さない。清潔を保ち、衣服との摩擦を避ける。広範囲に及ぶ、自然に破れた、周囲の赤みや腫れが増す、膿が出る場合は受診する。
日焼けに氷を当ててもよいのか
氷を皮膚へ直接当てない。冷たいシャワーや濡れた布を使い、寒気が出るほど全身を冷やし続けない。
市販の鎮痛薬を使ってよいのか
年齢、妊娠、持病、常用薬で選択が変わる。用量を自己調整せず、製品表示を確認した上で薬剤師か医師へ相談する。
出典・参考資料
- 救急蘇生法の指針2015(市民用)(厚生労働省・日本救急医療財団心肺蘇生法委員会)氷や氷水による熱傷の冷却を避け、水ぶくれを潰さず保護するよう示す市民向け指針
- やけど Q2 やけどの応急手当はどうしたらよいですか?(日本皮膚科学会)冷却と、自己判断による軟こうや油の塗布を避ける考え方を示す一般向け資料
- 救急受診ガイド2014年版(総務省消防庁)日焼けを含む水ぶくれの受診判定と、小児・妊婦の受診目安を示す全国版ガイド
- 熱中症(日本赤十字社)暑熱環境で119番通報を急ぐ症状と冷却、水分補給の条件を示す教材
- How to treat sunburn(American Academy of Dermatology)日光を避けた後の冷却、保湿、補水、水ぶくれの扱いを示す一般向け資料
- Sunburn: Treatment & Prevention(HealthyChildren.org(American Academy of Pediatrics))子どもの日焼けを家庭で扱う範囲と小児科医へ連絡する症状を示す資料
- Baby Sunburn Prevention Tips(HealthyChildren.org(American Academy of Pediatrics))乳児の皮膚の特徴と重い日焼けを緊急事態とする資料