米ワシントン州シアトル中心部の食の祭典「バイト・オブ・シアトル」で起きた銃撃事件は、警察の情報発信を巡る混乱から組織トップの辞任に発展した。7月26日夕に銃撃が起きた後、警察が追加情報を出すまで約5時間かかり、ケイティ・ウィルソン市長は2人を拘束したとの発表を後に撤回した。

AP通信によると、ション・バーンズ警察本部長は市長からの辞任要求を受けて7月30日に辞任し、ウィルソン市長はアンドレ・セイルズ副本部長を本部長代行に充てた。バーンズ氏は事件当時、市外で法執行機関の会議に出席していた。

追加情報まで約5時間 市長発表も訂正

警察は複数の被害者が出た銃撃の発生を交流サイト(SNS)に投稿した後、現場周辺に危険が残っているかを含む追加情報を約5時間公表しなかった。その間、ウィルソン市長は2人を拘束したと発表したが、後に撤回した。大規模な催しの会場で複数の発砲者が疑われる状況下、住民や来場者に何をいつ伝えるかが問題となった。

事件現場を区切る警察の規制線(イメージ)

事件現場を区切る警察の規制線(イメージ)。Photo by Srujan J. on Pexels

シアトル市長室は、ウィルソン市長がバーンズ氏の辞表を受理し、法執行機関で20年以上の経験を持つセイルズ氏を本部長代行に任命したと発表した。バーンズ氏は声明で、警察組織と市に尽くせたことを誇りとし、若者の銃暴力への対応に再び力を注ぐよう求めた。

ウィルソン市長は翌31日、事件後の情報発信は判断に影響したものの、辞任を求めた理由は一つではないと説明した。バーンズ氏はシアトルで2人目の黒人警察本部長で、複数の黒人地域団体や市議会議員らは交代に反対していた。

3人死亡、4人負傷 15歳少年を逮捕

銃撃はスペースニードルに近いシアトル・センターで、3日間の催しが終盤を迎えた7月26日に起きた。19歳の容疑者1人と、巻き込まれた44歳と56歳の2人が死亡した。2歳児を含む4人も負傷した。

警察官は現場で15歳少年が群衆に向けて銃を撃つのを目撃し、投降させた。キング郡検察は少年を銃器を使った第1級暴行と拳銃の不法所持で訴追した。死亡した2人を撃った罪で起訴されたわけではない。

致命弾は少年の銃と不一致 ほかの銃を追跡

警察が裁判所に提出した資料によると、死亡した傍観者2人から回収した弾丸の初期鑑定では、15歳少年が所持していた追跡困難な私製銃器「ゴーストガン」と一致しなかった。どの銃が2人を撃ったかは特定されていない。

現場の薬きょうの鑑定は4丁の銃が発砲した可能性を示した。警察は3丁を回収したが、発砲が確認されたのはそのうち2丁だった。このため、銃撃に使われた2丁は現場で見つかっていない計算になる。警察は事件をギャングに関連する銃撃とみて、ほかの関与者を追っている。

成人裁判所への移送は未決定

検察は15歳少年の事件を成人裁判所へ移すよう裁判官に求めた。移送は決定ではなく、裁判官が検察側と弁護側の主張を検討する手続きが続く。弁護人は成人としての審理に反対する方針を示した。

初期の情報では負傷者がさらに1人いる可能性も示されたが、警察は7月29日、8人目の被害者はいないと説明した。死傷者数や使用された銃の特定を含め、捜査の進展に伴って公表内容が更新される可能性がある。

よくある質問

バーンズ警察本部長はなぜ辞任したのか
市長からの辞任要求を受けて7月30日に辞任した。市長は、銃撃後の情報発信が判断に影響した一方、理由は複数あったとして全容を公表していない。

シアトル警察の本部長代行は誰か
副本部長だったアンドレ・セイルズ氏である。シアトル市長室によると、法執行機関で20年以上の経験がある。

逮捕された15歳少年の銃が2人を死亡させたのか
初期鑑定では、死亡した傍観者2人から回収された弾丸と少年の銃は一致しなかった。致命弾を発射した銃は特定されていない。

現場で使われた銃はすべて回収されたのか
回収されていない。薬きょうは4丁の発砲を示したが、回収された3丁のうち発砲が確認されたのは2丁で、使われた2丁が見つかっていない。

15歳少年は成人裁判所で審理されるのか
まだ決まっていない。検察が移送を求め、弁護側は反対する方針で、裁判官が判断する。