米ニューメキシコ州の児童・青少年・家庭局(Children, Youth and Families Department、CYFD)が、15歳の米国市民をテキサス州エルパソの国境橋へ送り、単独でメキシコへ渡るよう指示したとして提訴された。州のラウル・トレズ司法長官は、少年の米国帰国に向けた支援と、裁判所の承認を得ない児童の国外安置を禁じる一時的差し止め命令を求めている。
国境橋へ送られた15歳
AP通信によると、トレズ司法長官が7月28日に起こした民事訴訟は、CYFD職員が7月6日に少年をエルパソまで車で送り、国境橋を一人で渡って母親を捜すよう指示したと主張している。母親はメキシコ国籍で、2026年に薬物関連の罪で逮捕された後、メキシコへ送還されていた。
訴状によると、少年はメキシコ側ですぐに母親を見つけられず、車線を横切って米国側へ戻った。米税関・国境警備局(U.S. Customs and Border Protection、CBP)はCYFDにニューメキシコ州へ連れ帰るよう求めたが、職員は拒み、少年はすでに「テキサスの問題だ」と述べて現場を離れたという。
少年はその後、テキサス州家族・保護サービス局に一時保護された。訴状は、同州当局がCYFDと連絡を取ろうとしたものの、数週間後に少年をメキシコの母親へ引き渡さざるを得なかったとしている。少年には毎日の服薬を要する心臓の持病があり、CYFDは再統合後の医療継続を十分に確保しなかったと司法長官側は主張する。
司法長官の請求とCYFDの反論
司法長官側は、CYFDが母親について適切な危険性評価をせず、成人の付き添いもないまま未成年者に国境を越えさせたと主張する。訴えはCYFDに少年の米国帰国を支援するよう命じることに加え、将来の案件で裁判所の承認なしに児童を国外へ移すことを一時的に禁じるよう求めた。
CYFDは少年の安全が脅かされたとの見方を否定し、母親が再統合を望んでいたと説明した。同局はオンラインで2回の家庭訪問を行い、メキシコでの生活環境は安全だと判断したとしている。同局報道官は訴状と命令を精査し、法廷で回答する考えを示した。
ニューメキシコ大学のクリステン・コンリー氏はAP通信に対し、安全に実施される限り、国外にいる親と子を再統合することを禁じる州法上の規定はないと説明した。したがって争点は、国外での親子再統合そのものに加え、今回の危険性評価、移動方法、引き渡し後の支援が安全だったかにある。裁判所は本稿執筆時点で、この点を判断していない。
3カ月前の調査報告が示した問題
この報告は今回の少年の事案より前にまとめられたもので、個別訴訟の証拠ではない。一方、報告が危険性評価と家庭再統合の手続きをCYFDの構造的課題として挙げた約3カ月後に、同じ論点を含む訴えが起きた。今回の手続きが適法か、少年の安全が確保されていたかは、今後の提出書面と裁判所の判断を待つ必要がある。
よくある質問
少年はなぜメキシコへ向かったのか
訴状によると、CYFD職員が7月6日、少年をエルパソの国境橋へ送り、メキシコにいる母親と合流するため一人で橋を渡るよう指示した。少年は米国市民で、母親はメキシコへ送還されていた。
州司法長官は裁判所に何を求めたのか
CYFDに少年の米国帰国を支援するよう命じることと、裁判所の承認を得ずに児童を国外へ移す行為を禁じる一時的差し止め命令を求めた。
CYFDはどのように反論しているのか
少年の安全は脅かされておらず、母親が再統合を希望していたと説明した。オンラインで2回の家庭訪問を行い、生活環境は安全だと判断したとも主張している。
出典・参考資料
- New Mexico AG sues for return of teen forced to cross border by foster care staff(AP通信)訴状の主張、少年が国境を往復した経緯、司法長官の請求、CYFDの反論を報じた記事
- New Mexico Department of Justice Releases Investigative Report into CYFD, Files Lawsuit to Enforce Transparency and Protect Children(New Mexico Department of Justice)2026年4月のCYFD調査報告について、調査範囲と安全評価、家庭再統合を含む組織的問題を説明した公式発表