中国・四川省の世界自然遺産、九寨溝は、局地的な強雨に伴う土石流で一部区域を閉鎖した後、7月30日に全域で営業を再開した。園内では道路の一部が通れなくなり、滞留した観光客が避難したが、管理当局は死傷者はいなかったとしている。

午後3時50分に土石流、観光客を避難

九寨溝風景名勝区管理局によると、7月26日午後3時50分、園内の一部で短時間に強い雨が降り、土石流が発生した。道路の一部が通行できなくなったため、管理局は洪水・地質災害に対する緊急対応を始め、観光客の避難と危険箇所の点検を進めた。初報の時点で死傷者はいなかった

新華社は管理局への取材に基づき、7月26日に避難した観光客は約2300人で、全員が秩序を保って安全に退避したと報じた。管理局が同日に公表した初報には人数の記載がないため、約2300人は報道機関が後に確認した数字となる。

箭竹海の上流側と則査窪溝を一時閉鎖

管理局は7月27日、日則溝の箭竹海を含む上流側と、則査窪溝の全域で観光客の受け入れを一時停止した。一方、樹正溝の全域と日則溝の箭竹海瀑布より下流側は、安全評価で危険がないと確認したうえで営業を続けた。同日の入場券と観光車券は無料とし、購入済みの券は元の決済経路を通じて払い戻す対応を示した。

九寨溝の諾日朗瀑布を流れ落ちる幾筋もの滝
九寨溝は湖と滝が連なる景観で知られる。土石流の後、一部区域では道路の復旧と危険箇所の点検が続いた。(AlexHe34/CC BY-SA 3.0, Wikimedia Commons)

安全評価後、7月30日に全域再開

管理局は閉鎖区域で土砂の撤去、道路の修復、地質災害の危険箇所の点検を続けた。7月27日から29日までは利用できる区域を限定し、1日の受け入れ上限を2万人に抑えて営業した。

管理局は7月29日、安全評価で全域を開放する条件が整ったとして、翌30日からすべての区域で営業を再開すると発表した。再開後の受け入れ上限は1日4万1000人とし、入場券と観光車券は通常の繁忙期料金に戻した

全域再開は、7月29日時点の安全評価に基づく判断である。山間部の天候や道路状況、入場制限は変わりうるため、訪問前には景勝区の公式発表と予約状況を改めて確認する必要がある。

甘粛省の10人死亡は別の災害

甘粛省定西市渭源県の景勝地では7月26日午後、急な強雨による鉄砲水が発生し、同日午後6時までに10人が死亡、23人が負傷した。現場では観光客の一部がキャンプ中で、増水後に取り残された。これは四川省の九寨溝で起きた土石流とは場所も被害も異なる。

同じ報道によると、台風ノウル(Noul)は7月26日午前3時50分ごろに広東省恵東県へ上陸した。中国当局は江西、湖南、広東、四川、陝西、甘粛の各省と新疆南東部の一部に、鉄砲水に関する最高レベルの赤色警報を出した。

世界遺産の景勝地、最新情報は公式発表で確認

九寨溝は四川省北部に位置し、青や緑、紫色の湖沼、滝、石灰華段丘などの景観を持つ自然保護区として、1992年に国連教育科学文化機関(UNESCO)の世界遺産へ登録された。山地の観光地では局地的な雨が交通に影響する場合がある。営業区域、入場券、現地までの道路については、出発時点の情報を個別に照合する必要がある。

日本の外務省や在重慶日本国総領事館の公開ページでは、本稿の執筆時点で今回の土石流と再開をまとめた日本人旅行者向けの個別資料を確認できていない。日本語の公的案内がないことは現地の危険がないことを意味しないため、九寨溝管理局の発表、旅行会社、利用する交通機関の情報を確認することになる。

よくある質問

九寨溝の土石流で死傷者は出たのか
管理局は、景勝区内で死傷者はいなかったと発表した。新華社は、滞留していた観光客約2300人が7月26日に安全に避難したと報じている。

一時閉鎖されたのはどの区域か
日則溝の箭竹海を含む上流側と、則査窪溝の全域である。樹正溝の全域と日則溝の箭竹海瀑布より下流側は7月27日も営業した。

九寨溝は現在も一部閉鎖されているのか
管理局は7月30日から全域を再開すると発表した。ただし、天候や安全点検、入場者数によって運用が変わる場合があるため、訪問前の再確認が要る。

甘粛省の10人死亡は九寨溝で起きたのか
九寨溝ではない。甘粛省定西市渭源県の景勝地で起きた別の鉄砲水による被害である。