ガーナ最高裁は7月29日、政党が大統領候補と国会議員候補を選ぶ際に使ってきた代議員制の選挙人団を違憲と判断した。判断は5対2だった。各党は1年以内に、党が資格を認める全登録党員が投票に参加する制度へ移行しなければならない。
5対2で違憲判断 移行期限は1年
ガーナ通信社は、最高裁が5対2で代議員制を違憲とし、資格を満たす全登録党員が大統領候補と国会議員候補の選出に投票できる制度を1年以内に整えるよう各党に命じたと報じた。従来は党幹部や選挙区の役職者など、一部の代議員が候補者を選んでいた。今回の判断は、候補者選びへの参加資格を一般党員へ広げる。
最高裁が判断の根拠としたのは、ガーナの1992年憲法55条5項である。同項は、政党の内部組織が民主主義の原則に沿い、その行動と目的が憲法や法律に反しないことを求める。Ghanaian Chronicleは、7人の裁判官で構成する合議体をポール・バフォー=ボニー首席裁判官が率い、限られた代議員や党役員に投票権を絞る仕組みが同項に反すると判断したと伝えた。
争点は党内選挙への参加
訴えを起こしたのは、心臓外科医で元閣僚のクワベナ・フリンポン=ボアテング氏、政治家のニャホ・ニャホ=タマクロー氏、元閣僚のクリスティン・アモアコ=ヌアマ氏の3人だ。3氏は、候補者を選ぶ権限が少数の代議員に集中し、一般党員の意思が反映されにくいと主張した。
Graphic Onlineの判決前の解説によると、代議員には党幹部、選挙区の役職者、党が指定した代表者などが含まれ、広い地域に散らばる党員をまとめて党内選挙を運営する現実的な手段として定着してきた。一方、投票権を持つ集団が限られることで、候補者による利益誘導や票の買収を招くとの批判も強まっていた。
選挙管理委員会にも監督責任
判決は制度変更を各党だけの問題とはしなかった。ガーナ選挙管理委員会には、党内選挙が憲法に沿っているかを監督する責任があると示した。各党は党則や候補者選出の手続きを改め、登録党員名簿の精度、投票資格の確認、投票所の配置、開票方法を詰める必要がある。
全党員投票は参加の裾野を広げる半面、対象者の増加に伴って運営費と事務負担が膨らむ。党が「資格を満たす」と認める基準をどう定め、異議申し立てをどう処理するかも制度の公正さを左右する。最高裁は、判決前に代議員制の下で行われた選挙や人事を今回の判断だけで無効にはしないとした。
判決理由全文は未確認
最高裁は判決理由全文を8月5日までに提出すると報じられた。ただし、本稿執筆時点でガーナ司法当局が公開した全文は確認できていない。憲法55条5項を代議員制へどう適用したのか、各党の裁量をどこまで認めるのか、選挙管理委員会がどの手段で履行を確保するのかは、理由全文の確認を待つ必要がある。
よくある質問
最高裁は何を違憲としたのか
政党が大統領候補と国会議員候補を選ぶ際、投票権を少数の代議員に限る制度を違憲とした。国政選挙そのものではなく、その前段階にある党内の候補者選びが対象だ。
誰が新制度で投票するのか
各党に登録し、党が定める資格を満たす党員である。党員資格の具体的な確認方法は、今後の制度設計で詰める課題として残る。
各党はいつまでに制度を変えるのか
期限は判決から1年以内だ。党則、党員名簿、投票所、開票手続きなどを全党員投票に合わせて組み直す必要がある。
過去の候補者選びは無効になるのか
判決前に善意で行われた選挙や人事は有効と報じられている。今回の違憲判断だけを理由に過去の決定が覆るわけではない。
出典・参考資料
- Supreme Court declares Political Parties delegates system unconstitutional(Ghana News Agency)5対2の判断、全登録党員への投票権拡大、1年の期限、選挙管理委員会の責任、原告3人を報じた記事
- Supreme Court Declares Political Parties' Delegate System Unconstitutional(The Ghanaian Chronicle)憲法55条5項、過去の選挙や人事を無効にしない扱い、各党の規則変更を報じた記事
- A constitutional test of the delegate system(Graphic Online)判決前の制度解説。代議員の構成、原告の請求、全党員投票に伴う運営上の論点を整理している