アテネ中心部の廃屋で7月18日、スーツケースに入ったスコットランド出身の支援活動家エリザベス・ジェーン・ロスさん(38)の遺体が見つかった。ギリシャの裁判所は8月6日、計画的殺人などで訴追されたアフガニスタン出身の26歳の男について、公判まで勾留するよう命じた。
AP通信によると、男はアテネの裁判所で約3時間の審問を受けた後、殺人事件の公判まで勾留されることが決まった。当初は武器関連の容疑で拘束され、その後、計画的殺人とロスさんの口座から1万ユーロ超を盗んだ疑いが加わった。
防犯カメラから特定 英米の捜査機関も協力
捜査当局は、遺体発見現場の近くで大型の暗色スーツケースを運ぶ男を捉えた街頭カメラの映像から容疑者を特定し、8月2日に逮捕した。英国の国家犯罪対策庁(National Crime Agency、NCA)とスコットランド警察、米国の捜査機関も調べに協力した。
AP通信は、ギリシャの個人情報保護法制により、本人の同意なしに刑事事件の容疑者名を当局が公表できないと伝えている。ギリシャ当局が確認したのは、男がアフガニスタンからの移民であることまでだ。現地報道には男がアテネでボクサーを目指していたとの情報もあるが、当局は公に確認していない。
6月26日にギリシャ到着 7月18日に遺体発見
ギリシャ紙カティメリニの英語版によると、ロスさんは6月26日にエディンバラからギリシャへ入り、港湾地区ケラツィニで友人宅に滞在した後、7月15日にキプセリ地区の別の友人宅へ移ると伝えていた。その後の姿は確認されず、3日後にホームレスの男性が廃屋でスーツケースを見つけ、警察へ通報した。
ギリシャ当局は国内のデータベースで身元を割り出せず、指紋を国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization、INTERPOL)へ送った。米当局が保有する生体情報との照合を経て、ロスさんと確認された。捜査では、死亡後も何者かがロスさんの携帯電話を使い、本人を装って父親へメッセージを送った疑いも調べている。
死因はなお確定せず 起訴と有罪判決は別
遺体は腐敗が進んだ状態で見つかった。8月6日時点で、当局は窒息が死因だったかを確かめる組織検査の結果を待っている。窒息死との見方は確定した鑑定結果ではない。
公判前の勾留は有罪判決を意味しない。1万ユーロ超の窃取や携帯電話の使用も捜査当局側の情報であり、今後の審理で証拠と被告側の主張が検討される。公判の日程は8月6日時点で明らかになっていない。日本の公的機関がこの事件について独自情報を示した資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。
よくある質問
男はどの容疑で訴追されたのか
計画的殺人とロスさんの口座から1万ユーロ超を盗んだ疑いで訴追された。当初は武器関連の容疑で拘束されていた。
なぜ容疑者の氏名を記載していないのか
AP通信は、ギリシャの法制では本人の同意なしに当局が刑事事件の容疑者名を公表できないと報じている。氏名や職業に関する報道はあるが、当局が公に確認した範囲を優先した。
ロスさんの死因は確定したのか
確定していない。窒息だったかを確認する組織検査の結果が待たれており、遺体の腐敗が進んでいたため、初期の解剖では正確な死因を特定できなかった。
出典・参考資料
- Suspect in Greek suitcase murder of Scottish aid worker appears in court(Associated Press)殺人と強盗での訴追、防犯カメラによる容疑者の特定、英米当局の捜査協力を報じた8月5日付記事
- Suspect jailed pending trial in killing of Scottish aid worker in Athens(Associated Press)公判までの勾留、1万ユーロ超の窃取容疑、死因を確認する組織検査の状況を報じた8月6日付記事
- Scottish woman found dead in Athens suitcase identified(eKathimerini)被害者の身元確認、ギリシャ到着後の足取り、遺体発見、携帯電話をめぐる捜査を報じた記事