ハリスコ新世代カルテル(Cártel de Jalisco Nueva Generación、CJNG)は、メキシコを拠点に麻薬密輸や資金洗浄などを展開する犯罪組織だ。米政府は8月5日、幹部8人を対象とする総額1億ドルの懸賞を発表し、組織の新指導者とみるフアン・カルロス・ゴンサレス氏(通称ペロン)への上限額を500万ドルから2500万ドルへ引き上げた。

AP通信によると、今回の懸賞はCJNG幹部8人に総額1億ドルを設定し、ゴンサレス氏への上限額を2500万ドルへ引き上げる内容で、構成員の家族や事業関係者には査証制限も科された。米当局は別の幹部5人に対する起訴状も新たに公開した。

新指導者とみる米政府 有罪認定とは別

ゴンサレス氏は米国とメキシコの国籍を持つ。米財務省は7月23日、同氏をCJNGの新指導者と位置づけ、2月にメキシコ政府の作戦で死亡した創設者ネメシオ・オセゲラ・セルバンテス氏(通称エル・メンチョ)の継子だと公表した。同省の発表時点で懸賞上限額は500万ドルだったため、8月5日の措置で5倍になった。

「新指導者」という表現は米政府の情報評価に基づく。組織内部の指揮命令系統が公開資料で検証されたわけではない。また、起訴は検察側が刑事責任を問う手続きであり、有罪判決ではない。懸賞も逮捕や有罪を示すものではなく、情報提供を促す捜査手段である。

米国とメキシコの国境に設置された金属製フェンス(イメージ)

外国テロ組織指定と資産制裁

米国務省は2025年2月20日、CJNGを移民国籍法に基づく外国テロ組織(Foreign Terrorist Organization、FTO)に指定した。これは米法上の指定であり、メキシコ側の犯罪認定や軍事行動を自動的に決める措置ではない。

米財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control、OFAC)は7月23日、ゴンサレス氏を含む50超の個人・団体を制裁対象に加えた。対象は指導部、麻薬密輸部門、資金洗浄を担う関係者や企業に及ぶ。同省はCJNGの収入源として、麻薬取引のほか、燃料の窃盗・密輸、タイムシェア詐欺を挙げた。8月の懸賞と査証制限は、刑事手続き、入国管理、金融制裁を重ねる一連の措置に位置づけられる。

日本外務省は現地の治安悪化を注意喚起

日本外務省は2月23日、メキシコ国防省がCJNGへの掃討作戦とエル・メンチョの死亡を発表した後、ハリスコ州と周辺州で衝突、道路封鎖、公共交通の停止・遅延、放火が相次いだとして注意を呼びかけた。米国の懸賞発表そのものを日本政府が独自に確認した資料は、記事執筆時点で確認できていない。

8人に対する総額1億ドルとゴンサレス氏への2500万ドルはAP通信が伝えた米政府発表に基づく。残る7人の個別額については、本稿で確認できた公的資料だけでは全員分を照合できなかったため、内訳を記載していない。

よくある質問

米政府がゴンサレス氏に設定した懸賞はいくらか
情報提供に対する上限額は2500万ドルで、従来の500万ドルから5倍に引き上げられた。CJNG幹部8人に設定された懸賞は総額1億ドルである。

ゴンサレス氏がCJNGの指導者だと確定したのか
米財務省は新指導者と位置づけているが、これは米政府の認定である。非公開組織の指揮系統を独立に検証した結論ではない。

外国テロ組織指定は何を意味するのか
CJNGを米国の移民国籍法に基づく外国テロ組織として扱う措置だ。メキシコ側の犯罪認定や軍事行動を自動的に決める制度ではない。