豪州の研究チームが、バービー(Barbie)とケン(Ken)の人形を人体計測の手法で測り、1996年に報告された旧型との変化を調べた。2016年以降のFashionistasシリーズでは、4種類のバービーの腰と胸をめぐる比率が若年女性の参照集団に近づいた。一方、新しいMalibu Kenは個別の寸法が改善しても、細い腰に由来する比率の隔たりが残った。

ニューサウスウェールズ大学のSara Grafenauer氏、Belinda Durey氏、Kevin Norton氏による原著論文は、2026年6月16日にPLOS Oneで公表され、旧型と新型の人形を同じ身長に換算して若年成人の参照データと比較した。Norton氏は1996年の調査にも加わっており、今回は当時と同じ参照集団を使って約30年間の変化を追った。

二人が重ねて測定、身長170.18センチに換算

対象はCurvy、Petite、Tall、Standardの4種類のバービーとMalibu Kenで、測定値の整合性を確かめるため旧型バービーも加えた。2人の測定者が首、胸、腰、臀部、大腿、ふくらはぎ、足首、上腕、前腕、手首の周囲径をそれぞれ繰り返し測った。

人形は大きさが異なるため、研究チームはすべての寸法を身長170.18センチに比例換算した。比較対象は18〜35歳の南オーストラリア州の大学生を中心とする女性135人、男性50人で、1996年の調査と同じ集団だ。腰囲・臀囲比、胸囲・腰囲比、胸囲・臀囲比を計算し、参照集団の平均からの隔たりを調べた。

4種類のバービー、二つの比率で参照範囲内

4種類の新しいバービーは、腰囲・臀囲比と胸囲・腰囲比を組み合わせた分析で、若年女性参照集団の95%信頼楕円内に入った。個別の周囲径の80%と、調べた三つの体形比率すべてが旧型より参照集団へ近づいた。なかでもCurvyは、個別の周囲径の80%と三つの比率すべてで、4種類のうち参照平均に最も近かった。

長年批判の対象となった胸囲についても、論文は別の見方を示した。旧型と新型のバービーはいずれも、身長をそろえた胸囲が参照集団の平均を下回った。研究チームは、バービーの胸囲が過大だとする批判は1996年の測定時からデータに合わないとしている。

玩具店の棚に並ぶ人形と子ども向け玩具(イメージ)
研究はFashionistasシリーズの4種類のバービーとMalibu Kenを実測した。(イメージ)

ケンは周囲径が改善、比率には細い腰が残る

Malibu Kenでは、首や胸、腕など個別の周囲径の90%が旧型より男性参照集団の平均に近づいた。ただ、腰囲・臀囲比、胸囲・腰囲比、胸囲・臀囲比の三つで参照平均へ近づいたのは一つだけだった。三つの比率を組み合わせると95%信頼範囲の外にあり、論文は主因を一貫して細い腰に求めている。

胸囲・腰囲比は旧型の1.33から新型の1.42へ上がり、参照集団の1.13からさらに離れた。新型の胸囲は旧型より人間の平均に近いが、腰囲がなお細いため、両者の比率では差が広がった形だ。個々の寸法と、複数の寸法を組み合わせた体形の印象は同じ方向に変わるとは限らない。

「人間に近い」と「子どもへの影響」は別の問い

今回の結果が示すのは、人形の静的な寸法が特定の若年成人集団へ近づいたという点に限られる。新しい人形で遊んだ子どもの身体像、自己評価、細身の体形への選好が変わるかは実験していない。人形の形が変わった事実から、心理面の効果まで導くことはできない。

参照集団にも制約がある。参加者は1980年代に身体組成研究へ自ら応募した南オーストラリア州の大学生が中心で、論文は一般の若年成人より細身だった可能性を挙げた。豪州の平均腰囲は1995年から2022年にかけて男女とも増えており、人形との差の縮小には比較される人間側の変化も影響する。日本の子どもを対象とした影響評価や、日本人の身体計測値との比較はこの研究に含まれない。

よくある質問

現在のバービーは人間と同じ体形なのか
同じとは断定できない。4種類の新しいバービーは二つの比率を組み合わせた分析で参照集団の95%信頼楕円内に入ったが、個別の寸法には平均との差が残る。

ケンもバービーと同程度に人間へ近づいたのか
測定項目によって結論が異なる。個別の周囲径は90%が参照平均へ近づいた一方、三つの体形比率で改善したのは一つで、全体として参照集団の95%信頼範囲外だった。

人形の変更で子どもの身体像は改善するのか
この研究からは判断できない。測ったのは人形の寸法であり、子どもが遊ぶ前後の心理的な変化は調査対象ではなかった。