パソコンメーカーがWindowsをあらかじめ搭載する際に支払うOEM(Original Equipment Manufacturer)ライセンス料が、2026年7月から平均7〜10%上がったとの報道が出た。Windows CentralはPC業界関係者の話としてこの幅を伝え、Microsoftにコメントを求めたが、同社は回答を示さなかったとしている。ただし、7〜10%はMicrosoftの公表値ではない。PCメーカーのFrameworkが公式に示したのは、Windowsライセンス費用の増加が自社製品の新規注文価格に含まれるという点までだ。日本のPC価格に何円上乗せされたかは、公開資料から切り分けられない。

7〜10%は業界筋の数字

パソコンのマザーボード上にあるCPUの接写(イメージ)

報道された7〜10%は、Microsoftの公開料金表から出た数字ではない。PC Gamerも同じ幅を伝えたが、情報源の説明が正しいか独自には確認できないと明記した。二つの記事は別々の料金表を確認したわけではなく、同じ業界筋情報を起点としている。料率は未確認の報道値として扱う必要がある。

費用増が実際に起きたことを示す一次資料はある。Frameworkは2026年7月22日の公式ブログで、新規注文のシステム本体とメインボードの価格に、Windowsライセンス費用の増加を反映したと説明した。同じ価格改定にはCore Ultra Series 3の一部CPU、メモリー、ストレージ、その他の半導体コストの上昇も含まれる。同社はWindows分の金額や上昇率を示していない。

マイナビニュースはこの更新を日本語で報じ、FrameworkのLPCAMM2メモリーが32GBで439ドルから800ドル、64GBで849ドルから1600ドルに上がった一方、システム価格にはWindowsライセンス費用の増加も含まれると伝えた。約82%と約88%という大幅な上昇はメモリーモジュールの数字であり、Windowsライセンス料の上昇率ではない。

PC価格を押し上げる費目は一つではない

パソコン組み立てラインの作業台と部品(イメージ)

PCメーカーは、ライセンス料より大きな部品コストの変動にも直面している。Counterpoint Researchの日本語版発表によると、2026年第2四半期の世界PC出荷台数は前年同期比4%減の6500万台だった。DRAM価格と部品コストの上昇を受け、OEM各社は値上げ、低価格構成の削減、利益率が高い製品の優先を迫られた

Windows OEMライセンス料はPC価格を構成する一費目である。ライセンス料が7〜10%上がったとしても、端末の総額が同じ率で上がる計算にはならない。Frameworkの例でも、システム価格の変更にはCPU、メモリー、ストレージが重なっている。反対に、メーカーが一部を吸収したり旧価格で調達した在庫を販売したりすれば、費用増がすぐ同じ形で店頭価格に現れるとは限らない。

購入時は「値上げ率」より同条件の総額

机の上で開かれた銀色のノートパソコン(イメージ)

購入判断では、同じ型番か、少なくともCPU、メモリー、ストレージ、画面、Windowsのエディション、Officeの有無、保証期間をそろえて総額を比べる。製品名が似ていても構成が違えば、価格差の原因をOEMライセンス料に帰すことはできない。セール価格やポイント還元は通常価格と分け、比較した日付も残すと変化を追いやすい。

Windowsなしのモデルを候補に入れる場合は、正規ライセンスを別に用意する費用まで総額に含める必要がある。Microsoft Supportは、WindowsをMicrosoftまたは信頼できる販売店から購入するか、WindowsがプリインストールされたPCをMicrosoftまたは信頼できる販売店から買う方法を安全な選択肢として案内している。報道された料率だけを根拠に購入を急ぐのではなく、現在の端末が用途を満たすかと、同じ構成の実売価格を基準にするのが妥当だ。

日本で残る情報の空白

ノートパソコンのキーボードの接写(イメージ)

本稿の執筆時点で、Microsoftや国内PCメーカーが7〜10%のOEMライセンス料引き上げ、対象機種、日本の店頭価格への転嫁額を公表した資料は確認できていない。Frameworkの説明はライセンス費用が増えたことを裏づけるが、全メーカーに共通する料率までは示さない。日本で影響を測るには、国内メーカーが同一構成の機種について改定前後の価格と時期を示す資料が要る。それが出るまでは、国内一律の値上げ率を置けない。

よくある質問

OEMライセンス料が7〜10%上がると、PCも同じ率で値上がりするのか
同じ率にはならない。OEMライセンス料は端末価格の一費目であり、CPU、メモリー、ストレージなどの調達費、メーカー側の吸収、在庫の取得時期も実売価格に影響する。

値上げはMicrosoftが公式に認めたのか
7〜10%という料率は公式発表で確認できていない。FrameworkはWindowsライセンス費用の増加を公表したが、上昇率は示さなかった。Windows Centralによると、Microsoftは同媒体の取材にコメントを示さなかった。

いまPCを買うべきか
この報道だけでは決められない。現在の端末が用途を満たすかを確かめ、同じ型番または同じ構成の実売価格を比較する。7〜10%という数字をPC本体の値上げ率として扱わないことが前提になる。