米韓両軍は8月21日、定例の合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド(Ulchi Freedom Shield、UFS)」を当初予定より6日早く終了した。実施期間は17日から27日までの11日間から、17日から21日までの5日間へ短縮され、一部の合同野外機動訓練も縮小された。ドナルド・トランプ米大統領が演習開始直前に大幅削減を指示したためである。

米国防総省は、一部の訓練科目を中止またはシミュレーションへ変更したと説明し、米軍の訓練目標は損なわれないとの立場を示した。一方、縮小後の参加人数と対象科目の全一覧は公表されていない。削減が訓練効果や米韓の即応態勢に及ぼす影響は、公開情報だけでは測れない。

11日間から5日間へ──開始後に日程変更

韓国合同参謀本部と在韓米軍は8月10日の共同説明で、UFSを17日から27日まで実施し、韓国軍約1万8000人が参加すると発表していた。規模は前年並みで、無人機、衛星測位システムへの妨害、サイバー攻撃など近年の戦闘で目立つ脅威をシナリオへ反映する計画だった。1万8000人は韓国軍の人数で、米軍を含む総数ではない。

米韓合同軍事演習中、韓国の空軍基地を離陸する米空軍のF-16戦闘機(イメージ)

韓国国防部は17日、演習は予定通り始まり、正式な縮小要請は届いていないと説明していた。その後の協議を経て、韓国軍は19日、米側の要請で期間と規模を調整すると発表した。17日の説明と19日の決定は、確認時点の異なる発表である。

韓国の外相と国防相は19日の国会審議で、トランプ氏の投稿前に韓国側と米国側の当局者へ通知はなかったと説明した。演習開始後の短縮は、軍同士が事前に公表した計画ではなく、大統領の投稿を受けて組み直された。

縮小理由──北朝鮮とイランを一つの投稿で言及

トランプ氏は8月16日のSNS投稿で、演習は費用がかかり、北朝鮮へ不適切で敵対的なシグナルを送ると主張した。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との良好な関係を挙げ、中止には遅すぎるため大幅縮小を指示したと記した

同じ投稿でトランプ氏は、李在明(イ・ジェミョン)韓国大統領に米国の「イランの非核化」への参加を求め、断られたとも主張した。韓国政府はこの依頼と返答の詳細を公表していない。韓国側はホルムズ海峡の航行の自由を回復するための実務・軍事面の貢献を米側と協議していると説明したが、トランプ氏が記したやり取りと同じ要請だったのかは確認できない

李大統領は縮小を支持──対話支援と防衛費増を併記

李大統領は19日、トランプ氏による演習縮小の決定を支持し、米朝対話の再開と朝鮮半島の平和につながることへの期待をXに投稿した。トランプ氏の「ピースメーカー」を支える「ペースメーカー」に徹するとし、国防費を国内総生産(GDP)比3.5%へ引き上げる従来の方針も改めて示した

李氏の投稿は、演習の縮小と韓国の防衛負担増を同時に掲げた。GDP比3.5%は目標であり、達成時期や年度別の予算措置は投稿からは分からない。

北朝鮮、短縮後も演習への立場変えず

北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は19日、期間と規模が縮小されても演習の挑発的、攻撃的な性格は変わらないとの談話を出した。トランプ氏と金正恩氏の間に連絡があることも否定した一方、両者の関係は「依然として良好」だと述べた。米朝対話や首脳会談の日程は発表されていない。

トランプ氏は19日、年内に金正恩氏と会う意向を示し、北朝鮮が核兵器57発を保有するとも主張した。会談の日程や議題は明らかにせず、AP通信は専門家の推計には100発を超えるとの見方もあると伝えた。57発という数字を裏付ける独立した公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。正確な保有数は確定していない。

トランプ氏が米韓演習を北朝鮮との外交に結び付けたのは今回が初めてではない。2018年6月のシンガポール米朝首脳会談後にも、トランプ氏は費用と「挑発的」との認識を理由に米韓演習を止める考えを公式会見で表明した。同時に、在韓米軍の削減は当時の合意に含まれないと説明していた。

今回も、演習の短縮と在韓米軍の長期配置は別の問題である。兵力削減、基地再編、米韓相互防衛条約上の義務変更を示す公式決定は発表されていない。

日本から見る論点──UFSと日米韓訓練は別枠

防衛省の2025年版防衛白書は、UFSを米韓が下半期に行う定例の指揮所演習と整理し、2022年には指揮所演習と並行する野外機動訓練が約4年ぶりに再開されたと記している。今回短縮されたのは、この米韓の枠組みである。

日本が参加する年次3か国共同訓練は「フリーダム・エッジ」で、UFSとは別に扱われている。日米韓の参謀総長らは7月15日、北朝鮮の核・ミサイル脅威への対応で3か国協力の重要性を再確認し、フリーダム・エッジを続ける方針を共同声明に盛り込んだ

二つの公式資料を照合すると、UFSの短縮を直ちに日米韓訓練全体の縮小とみなすのは適切でない。今回の決定がフリーダム・エッジなど日米韓の訓練や日本の安全保障態勢へ及ぼす影響を説明した日本政府の公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。

よくある質問

演習はどれだけ短くなったのか
当初は8月17日から27日までの11日間だったが、終了日を21日に前倒しした。実施期間は5日間となり、6日短くなった。一部の合同野外機動訓練も縮小された。

韓国国防部の「予定通り」という説明はどうなったのか
韓国国防部が予定通りの開始を説明したのは17日で、その時点では正式な縮小要請が届いていなかった。米韓両軍はその後に協議し、19日に21日終了を発表した。

韓国はイランへの協力を断ったのか
トランプ氏は韓国側から断られたと投稿したが、韓国政府は依頼内容と返答の詳細を公表していない。確認できるのはトランプ氏がそう主張したことまでである。

李在明大統領は演習の縮小を支持したのか
李氏は縮小を支持し、トランプ氏の米朝対話を「ペースメーカー」として支える意向を示した。国防費のGDP比3.5%への引き上げは別に掲げてきた目標で、縮小決定の結果として決まったものではない。

日本が参加する訓練も縮小されるのか
今回の対象は米韓のUFSである。日本が参加する日米韓共同訓練フリーダム・エッジについて、日程や規模を変えるとの発表は確認できていない。