ロシア中部タタルスタン共和国の石油産業都市ニジネカムスクは8月10日、ウクライナの無人機攻撃を受けた。AP通信は地元当局の発表として、子ども1人を含む13人が死亡したと報じた。同市はウクライナ国境から東へ約1200キロ離れ、人口は約24万人である

負傷者数は公表値がそろっていない。AP通信の記事冒頭は78人とする一方、同じ記事が引用したタタルスタン首長府の広報は75人としている。EL PAÍSは地元当局の発表に基づき48人と報じた。数字が分かれた理由は、8月13日時点で確認できていない。

死者9人は宿泊施設、外国籍の被害も

AP通信によると、無人機1機が宿泊施設に着弾し、死者13人のうち9人がそこで死亡した。犠牲者にはウズベキスタンとキルギスの国民が含まれ、ウズベキスタンの領事機関は自国民7人の死亡を確認した。外国籍の死者の総数と身元は明らかになっていない。

工業施設から上がる炎と黒煙(イメージ)

ロシア側は、工業施設と民間施設を狙った大規模な攻撃だったと説明した。ただし、宿泊施設が意図した標的だったのか、迎撃や飛行経路が着弾にどう関係したのかは公表されていない。

ウクライナ軍はTANECO製油所への攻撃を認める

ウクライナ軍参謀本部は、ニジネカムスクのTANECO製油所を攻撃し、火災が起きたと発表した。ロシア当局は無人機の具体的な標的を示しておらず、同市には二つの製油所と一つの石油化学工場がある

製油設備のどの部分が損傷したのか、操業を停止したのかは明らかになっていない。ウクライナ側が確認したのは製油所への攻撃であり、宿泊施設への着弾を自軍の作戦結果として説明したわけではない。二つの被害を同じ発表で確認済みと扱うのは適切ではない。

国境から約1200キロ、石油拠点への長距離攻撃

タタルスタンはロシア連邦を構成する共和国で、ニジネカムスクは前線やウクライナ国境から遠い内陸部にある。ウクライナが国境から約1200キロ先の製油所への攻撃を認めたことで、長距離無人機が届く範囲の広がりが改めて示された。

AP通信は、ウクライナがここ数カ月、ロシアの石油施設を長距離無人機でほぼ連日攻撃し、燃料不足と精製能力の低下が起きていると伝えた。ゼレンスキー大統領は今回の攻撃後、ロシア軍の攻撃には応答すると述べ、ロシア国内で戦争の影響が一段と感じられるようになるとの認識を示した

一連の攻撃がTANECOの生産量や地域の燃料供給をどこまで押し下げたかを示す確定値はない。個別施設の火災と、ロシア全体の供給への影響は分けて見る必要がある。

タタルスタンは服喪日、ロシア外務省は非難要求

タタルスタン共和国のルスタム・ミンニハノフ首長は8月10日を服喪日とした。ロシア外務省は各国政府と国際機関に対し、ウクライナによる攻撃を非難するよう求めた

AP通信は、ロシア側とウクライナ側の主張を独立に検証できなかったとしている。死者13人という地元当局の発表と、TANECOを攻撃したというウクライナ軍の発表は確認主体が異なる。負傷者の確定数、宿泊施設への着弾経緯、製油所の損傷規模は引き続き未確定である。

よくある質問

タタルスタン共和国はロシアのどこにあるのか
ロシア連邦を構成する共和国の一つで、ロシア中部に位置する。攻撃を受けたニジネカムスクはウクライナ国境から東へ約1200キロ離れた石油産業都市である。

今回の攻撃で何人が死傷したのか
地元当局による死者数は子ども1人を含む13人である。負傷者はAP通信の記事内で75人と78人、EL PAÍSでは48人とされ、統一された数字は確認できていない。

宿泊施設もウクライナ軍の標的だったのか
ウクライナ軍が攻撃を認めた対象はTANECO製油所である。宿泊施設への着弾はロシア側当局が発表したが、意図した標的だったかを含め、経緯は独立に確認されていない。