8月15日土曜日の午後、オーストラリア各地の店頭でMastercardのカード決済が拒否される事例が相次いだ。Mastercardは予定していたシステム更新が原因だったと説明し、同日夕方に全システムが通常通り動いていると発表した。
15時に1700件超、2時間後には173件
MastercardはABCへの声明で、予定していたシステム更新によって一時的に取引が拒否され、すでに解消したと説明した。声明は更新の内容、障害が起きた処理経路、影響を受けたカードや取引の総数には触れていない。
Downdetectorの数字にも読み方の注意が要る。同サイトの件数は利用者が送った通報で、Mastercardや銀行が集計した失敗取引の総数ではない。通報項目では資金移動とモバイルバンキングが多く、店頭で拒否されたカード決済だけを数えた数字でもない。
「global」は影響国の確定を意味しない
豪コモンウェルス銀行(Commonwealth Bank of Australia、CommBank)は当時、「global Mastercard issue」と案内した。一方、ABCが具体的に確認したのは豪州の複数州から寄せられた事例である。Mastercardが影響を受けた国や地域の一覧を公表した資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。
日本で発行されたMastercardへの影響も、公的機関、国内の発行会社、Mastercardの公式発表では確認できていない。このため、豪州での障害をそのまま「世界規模」や「日本でも発生」と広げて扱う根拠はない。
豪州で案内されたのはeftposへの経路切り替え
CommBankが障害中に示したのは、物理カードを端末に挿入し、口座種別で「savings」を選んで豪州の国内決済網eftposへ回す手順だった。CommBankの公式案内は、デビットカード決済でMastercardまたはVisaの国際ブランド網とeftpos網を選択でき、Apple Payから処理網を選ぶ際は物理カードを端末に挿入する必要があると説明している。
この迂回策は、同じ豪州のデビットカードから別の決済網を選べる仕組みを使ったものだ。タッチ決済とICチップの違いだけで通ったわけではない。日本で発行されたカードに「savings」の選択肢があるとは限らず、カードを挿入すれば必ず決済が通るという一般則にもならない。
日本でカードが拒否されたときの切り分け
店頭の「拒否」表示だけでは、広域障害か、そのカード固有の問題かは判別しにくい。JCBは一時的な通信エラーのほか、利用代金の引き落とし状況、利用可能枠、有効期限、不正利用検知による一時停止を主な確認項目として挙げ、原因が分からない場合は問い合わせ窓口への連絡を案内している。
- 取引が完了したかを確かめる。端末表示、レシート、店舗側の記録、発行会社のアプリや利用明細を見比べる。完了の有無が分からないまま同じ決済を繰り返さない。
- 発行会社の通知を確認する。障害情報、利用確認、利用停止の通知が出ていないかを見る。利用可能枠や引き落とし状況、有効期限も対象になる。
- 店舗が受け付ける別の決済手段に切り替える。広域障害が疑われる場面では、同じカードを短時間に繰り返すより、別の処理網や現金など、店舗が案内する手段を選ぶ。
- 解消しなければ発行会社に連絡する。Mastercardの公式FAQも、買い物で取引を拒否された場合の問い合わせ先はカードを発行した金融機関だとしている。
再試行後は利用通知と請求を分けて見る
決済が通らず再試行した後は、通知の数と確定した請求を混同しないことが要点になる。三井住友カードは、店舗の処理方法によって利用通知が複数回届く場合があるものの、通知は請求の確定を意味せず、最終的な請求はWEB明細で確認するよう案内している。
同じ金額の通知が二つ届いただけなら、直ちに二重請求と断定する材料にはならない。WEB明細で二つの請求が確定した場合や、身に覚えのない取引が残った場合は、利用先と発行会社が示す手順で確認する必要がある。
よくある質問
今回の障害は全世界に及んだのか
影響国の公式な一覧は確認できていない。CommBankは「global」と表現したが、ABCが具体的に報じた事例は豪州の複数州で、日本国内への影響を示す公式発表も本稿の執筆時点では見当たらない。
タッチ決済が拒否されたら、カードを挿入すれば通るのか
必ず通るとは限らない。豪州で案内された方法は、物理カードの挿入によってMastercard網からeftpos網へ処理経路を切り替える仕組みを前提としていた。日本ではカードと発行会社、加盟店端末の案内に従う必要がある。
利用通知が2回来たら二重請求なのか
通知だけでは確定しない。店舗の処理によって通知が複数回届く場合があるため、最終的には発行会社の利用明細で請求の確定状況を確認する。
出典・参考資料
- Mastercard payments declined due to 'global' outage caused by system update(ABC News)豪州各地での決済拒否、Mastercardの原因説明と復旧発表、Downdetectorの通報件数
- Changes to digital wallets(Commonwealth Bank of Australia)豪州のデビットカード決済でMastercardまたはVisaとeftposの処理網を選べる仕組み
- カードが利用できない(JCB)日本でカードが使えない場合の主な原因と発行会社への問い合わせ案内
- 同じ店から二重で請求された場合の確認方法(三井住友カード)利用通知と請求確定の違い、WEB明細での重複請求確認
- Mastercard - Frequently Asked Questions(Mastercard)決済を拒否された場合はカード発行会社に連絡するという公式案内