Visit Japan Webは、日本の入国審査と税関申告、訪日客の免税購入に必要な情報を渡航前に登録するデジタル庁のウェブサービスだ。外国人の入国者と日本への帰国者の双方が利用対象となる。登録後も旅券の確認、入国審査、税関申告、必要な動植物検疫は残るため、二次元コード(QRコード)は通過許可証ではなく、申告情報を現場へ渡す手段と捉える必要がある。

準備は「日本へ入る条件」「Visit Japan Webへの登録」「持ち込み品の申告」の三つに分かれる。外務省は、外国人が原則として有効な旅券と必要な査証を持ち、入国審査官が旅券、査証、入国目的、滞在予定期間を審査すると説明している。査証の所持だけで入国が保証されるわけではない

外国人の短期滞在では、査証免除の対象国・地域、付与される在留期間、対象となる旅券の条件が国籍・地域ごとに異なる。Visit Japan Webの登録完了も、査証免除や上陸許可を確約しない。

空港の手荷物受取所にあるフライト案内表示と手荷物サービス設備(イメージ)

出発前──旅券と旅程を先にそろえる

旅券の有効期限と記載内容を確かめる。外国人旅行者は査証の要否、認められる活動、滞在期間を旅券の発給国・地域に応じて確認する。航空会社が定める搭乗条件は日本の入国条件と同じとは限らないため、予約便の案内も別に見る。

登録前に、旅券、到着便、入国・帰国日、日本での滞在先を一つにまとめる。宿泊施設を使う場合は名称、住所、電話番号を予約確認書と一致させる。旅程を変更したときは、到着前にVisit Japan Webの登録内容も見直す。

赤いスーツケースの上に置かれた旅券、スマートフォン、旅行書類(イメージ)

Visit Japan Web──登録は5段階

財務省税関の利用案内は、アカウント作成・ログイン、利用者情報、入国・帰国予定、入国審査・税関申告情報、到着時の二次元コード表示という順序を示している。二次元コードはオフラインでも表示できる。出発前に画面を一度開き、利用する旅程と氏名が一致しているかを確認しておく。

財務省税関は2026年5月28日、Visit Japan Webを装って金銭や個人情報を求める偽サイトと、有料の申請代行サイトを確認したと公表した。Visit Japan Webの利用と、入国時の税関申告に手数料はかからない。登録画面はデジタル庁の公式案内から開き、広告経由の類似サイトへ旅券情報や決済情報を入れないことが対策となる。

外国人の新規入国と、日本人の帰国・外国人の再入国では、画面に出る登録項目が同じとは限らない。表示された区分に沿って本人情報と今回の旅程を選び、入国審査用の項目が表示された場合は入力する。税関の携帯品・別送品申告書は全員が提出する必要があり、電子申告を選ぶ場合はVisit Japan Webへ登録する。同行者がいても、共同キオスクや電子申告端末は原則として1人ずつ二次元コードを使う。

旅行書類の横で二次元コードを表示するスマートフォン(イメージ) Visit Japan Webの事前登録から入国審査、手荷物受取、税関申告までを示す流れ図

到着後──共同キオスクと電子申告ゲートの違い

到着後の基本順は、入国・帰国審査、手荷物受取、必要な動物・植物検疫、税関申告である。空港やターミナルによっては、入管と税関へ必要な情報を一度に提供する共同キオスクを先に使う。

本稿執筆時点で、税関は共同キオスクの導入先として成田国際空港第3ターミナル、羽田空港、関西国際空港、福岡空港を案内している。端末で二次元コードと旅券を読み取り、表示された経路に沿って入国・帰国審査と税関へ進む。家族も1人ずつ手続きし、免税範囲を超える物品や別送品があれば有人検査台へ案内される

共同キオスクとは別に、税関の電子申告ゲートは新千歳、成田、羽田、中部、関西、福岡、那覇の7空港で案内され、二次元コードとIC旅券を電子申告端末で読み取る。申告内容に応じて電子ゲートか有人検査台へ進み、税関職員の検査を受ける場合もある。設備の場所と運用時間はターミナルごとに異なるため、現場表示が優先される。

Visit Japan Webの登録で待ち時間が何分短くなるかを全空港・全時間帯で比較した日本の公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。共同キオスクや電子申告ゲートは審査と検査をなくす仕組みではなく、到着便が重なる時間帯の待ち時間まで保証しない。

空港の入国審査区域で旅券とスマートフォンを持つ旅行者(イメージ)

税関申告──全員が提出、免税範囲は個人使用が前提

財務省税関は、日本に入国・帰国する全員に「携帯品・別送品申告書」の提出を求め、Visit Japan Webによる電子申告を推奨している。電子申告を使わない場合は、全国の空港と港に備え付けられた紙の申告書も提出できる。預け手荷物を受け取った後、申告対象の有無にかかわらず税関へ進む。

旅客の免税範囲は個人的に使用すると認められる携帯品・別送品が対象で、20歳以上1人当たり、酒類は760ミリリットル換算で3本、紙巻たばこは200本、香水は2オンス、その他の物品は海外市価の合計20万円までとなる。1個で海外市価20万円を超える物品は全額が課税対象となり、20歳未満には酒類とたばこの免税枠がない

現金、トラベラーズチェックを含む小切手、約束手形、有価証券の合計が100万円相当額を超える場合、または純度90%以上の金地金が1キログラムを超える場合は、税関への別様式の申告が必要だ。免税範囲内かどうかと、現金等の申告要否は別に判定する。

空港の税関検査区域で電子ゲートへ進む旅行者と手荷物(イメージ)

「免税」の二つの意味──入国時の枠と店頭購入

海外から日本へ持ち込む品物に適用される旅客の免税範囲と、訪日客が日本の免税店で買う際の消費税免税は別制度である。Visit Japan Webに免税購入用の機能があっても、入国時の携帯品申告や動植物検疫の条件は変わらない。

国税庁は2026年11月1日から、訪日客向けの消費税免税制度をリファンド方式へ移す。対象品は購入時に消費税込みで販売され、購入日から90日以内の出国時に税関が持ち出しを確認した後、免税店側が消費税相当額を返す。返金方法は税法で一律に定められておらず、店舗や委託事業者で異なる。同日以降の買い物では、利用店が示す返金方法と必要な手続きを別に確認する必要がある。

肉製品、果物、植物──免税店の商品も検疫対象

動物検疫所は、生、冷蔵、冷凍、加熱済みを問わず、肉、ジャーキー、ハム、ソーセージなどを動物検疫の対象としている。土産や個人消費用は輸出国政府の検査証明書を得にくく、肉製品や動物由来製品の大半は日本へ持ち込めない。持ち込みが認められる品物でも、到着後は税関検査の前に動物検疫所の検査を受ける。

果物、野菜、切り花などの植物は、持ち出した国・地域と品目の組み合わせで禁止・制限が変わる。土と土が付いた植物は全ての国・地域から持ち込めず、海外の免税店で買った品物も規制対象となる。購入場所や真空包装だけで判断せず、出発前に植物防疫所の品目別情報を照合する。

日本の空港ターミナルで出口へ向かう旅行者と手荷物(イメージ)

出発前の最終確認

入国条件と旅程:旅券の有効性を確かめ、外国人は査証、活動、滞在期間の条件を確認する。到着便、入国・帰国日、日本での滞在先は予約記録とそろえる。

電子登録:本人情報、今回の旅程、入国審査と税関申告の表示項目を入力する。対象の旅程を開き、二次元コードをオフラインでも表示できる状態にする。

持ち込み品と検疫:免税範囲、現金等、別送品、他人からの預かり物を分けて申告する。肉製品、動物由来製品、果物、野菜、植物は原産地と品目ごとの条件を確認する。

よくある質問

Visit Japan Webを使わないと日本へ入国・帰国できないのか
税関申告は紙の「携帯品・別送品申告書」でも受け付けている。外国人の入国審査は別の手続きであり、電子登録の有無にかかわらず、旅券や査証などの入国条件を満たす必要がある。

二次元コードがあれば入国審査と税関の列を通らなくてよいのか
二次元コードは登録情報を端末や審査官へ渡すために使う。入国・帰国審査と税関申告は残り、申告内容や現場判断によって有人検査へ進む場合がある。

家族の電子手続きを代表者1人で済ませられるのか
共同キオスクと電子申告ゲートは、家族であっても原則として1人ずつ手続きする。端末を利用できない場合は、到着空港の案内に従う。

海外の免税店で買った肉製品や果物なら持ち込めるのか
免税店での購入は動物・植物検疫の例外にならない。肉製品は検査証明書と輸入停止の有無、果物や植物は原産国・地域と品目別の条件を確認し、必要な検疫を税関より先に受ける。