インドネシア・東ジャワ州のブロモ・テンゲル・スメル国立公園(Bromo Tengger Semeru National Park)は、山火事の拡大を受け、観光客の立ち入りを停止している。火は8月3日に確認され、ブロモ山周辺の乾いた草原や植生を焼きながら広がった。

AP通信の8月11日付追報によると、焼失した範囲は約900ヘクタールに達し、保護対象のエーデルワイスも被害を受けた。火勢はおおむね抑えられたが、プンチャック30とデンクレックの2地点には活動中の火点が残った。公園の閉鎖は続き、再開日は示されていない。

60ヘクタールから約900ヘクタールへ

AP通信が8月6日に伝えた初期集計では、焼失面積は60ヘクタールだった。インドネシア国家防災庁(BNPB)は、急な火山斜面で地上隊が火点へ近づきにくく、強風が延焼を速める恐れがあるとして、放水ヘリコプター2機を投入した。この時点で発火原因は判明していなかった。

8月9日の集計では焼失面積が約176ヘクタールへ広がり、数百人の消防・防災要員、警察、軍、国立公園職員、ボランティアが動員された。ヘリコプターと無人機が上空から支援し、地上隊は延焼を遮る防火帯を設けた

東ジャワ州当局が8月10日に示した面積は約743ヘクタールで、ペナンジャカンの展望区域まで火が及んだ。同日時点で負傷者や住民避難の報告はなかった。翌11日の約900ヘクタールという数字まで、集計は短期間に大きく変わった。

山間の森林から濃い煙が立ち上り、谷を覆う様子(イメージ)

観光閉鎖は8月8日から 鎮火と再開は別

国立公園は8月8日、観光客の立ち入りを期限を定めず停止した。閉鎖の目的は来訪者を火災区域から遠ざけ、消火隊が保全区域への延焼防止に集中することにある。11日に火勢が「おおむね抑えられた」とされた後も、2地点で消火が続いた。

火勢の制御、鎮火、安全確認、観光再開は同じ段階ではない。今回の閉鎖に伴う入場券の払い戻しや日程変更について、管理当局が公表した資料は本稿執筆時点で確認できていない。予約済みの旅行者は、購入先の旅行会社や予約サービスの条件と、公園管理当局の再開告知を分けて確認する必要がある。

発火原因は未確定 一般的な野焼きと区別

BNPBは初報の段階で原因を特定しておらず、その後のAP通信の追報にも正式な調査結果は示されていない。インドネシアでは農地造成の火入れが森林・泥炭火災につながる例があるが、それは全国的な背景である。今回のブロモ山火災を放火、野焼き、観光客の行為のいずれかと断定する材料にはならない。

「43機」と学校への影響は全国の山火事対応

ブロモ山の消火体制と、インドネシア全土の動員規模は分けて読む必要がある。AP通信が8月10日に伝えたヘリコプター43機と焼失面積10万7000ヘクタール超は、スマトラ島やボルネオ島を含む全国の山火事対応を指す。ブロモ山だけに43機が投入されたとの意味ではない。

学校への影響も同様である。8月11日付のAP通信が伝えた対面授業の停止は、西カリマンタン州ポンティアナクの煙害による措置だった。マレーシア・サラワク州でも屋外活動が止められたが、いずれも東ジャワ州のブロモ山周辺で学校が閉鎖されたとの情報ではない。

日本語の公的情報には空白

外務省のインドネシア向け海外安全ページには、本稿執筆時点でブロモ山火災を対象とするスポット情報も、現地公館からの安全情報も掲載されていない。これは公園が開いているとの意味ではない。外務省ページに個別情報がない間は、現地の公園管理当局が示す閉鎖・再開情報と、航空会社、宿泊施設、旅行会社の運行・取消条件を照合する必要がある。

よくある質問

ブロモ山へ現在入れるのか
本稿で確認した最新の8月11日付資料では、国立公園は観光客に対して閉鎖中である。その後の再開発表は、本稿執筆時点で確認できていない。

どれほどの範囲が焼けたのか
8月11日時点で約900ヘクタールである。6日は60ヘクタール、9日は約176ヘクタール、10日は約743ヘクタールと集計が変わっており、約900ヘクタールも最終的な確定値ではない。

火は消し止められたのか
火勢はおおむね抑えられたが、8月11日時点でプンチャック30とデンクレックの2地点に活動中の火点が残っていた。鎮火や安全確認の完了は発表されていない。

発火原因は判明したのか
判明していない。一般的な森林火災の原因を今回の現場に当てはめる根拠はなく、正式な調査結果を待つ必要がある。