ロシアとウクライナの無人機攻撃が、軍事・物流施設の周辺から観光地や民間航路へ広がっている。ロシア南部の黒海沿岸では8月3日、アルヒーポオシポフカ(Arkhipo-Osipovka)の混雑した浜辺に無人機が突入し、子ども4人を含む7人が死亡した。

AP通信はクラスノダール地方当局の発表として、負傷者が58人に増え、うち21人が入院したと報じた。映像には無人機が浜辺へ突入する様子と銃声のような音が記録されていた。ロシア側はウクライナによる攻撃だと主張したが、ウクライナはコメントしていない。無人機の目標や浜辺へ落下した経緯は確定していない。

両国で相次ぐ市民被害

翌4日には、モスクワ州への無人機攻撃で5人が死亡し、10人が負傷したと州知事が発表した。ウクライナ側でも、ロシア軍の攻撃によりスムイ州で5歳と10歳の女児を含む3人が死亡した。南部ミコライウでは89歳の女性が死亡し、2歳から83歳までの7人が負傷した。

ハルキウ州では1人が死亡し、8歳の子どもを含む7人が負傷した。東部クラマトルスクでは誘導爆弾2発により24人が負傷したと地元当局が発表している。いずれも戦時下の当事国側が集計した数字で、第三者が全件を独立に検証したものではない。

長距離攻撃の応酬は続いている。ウクライナの防空能力と迎撃弾不足については、キーウで弾道ミサイル24発を迎撃できなかった経緯を整理した記事で詳しく扱っている。

商船2隻も被害、攻撃主体は不明

夜の海上を飛行する無人機(イメージ)

同じ局面で、ロシアのノボロシースク港を出たトルコ企業所有の商船2隻も無人機攻撃を受けた。トルコ政府はロシアとウクライナの双方に黒海での安全な航行を確保するよう改めて要請した。攻撃の実行主体は明らかになっておらず、船体被害の全容も公表資料では確認できない。

トルコ外務省は、戦闘が黒海全域に波及し、商船を脅かしていることに懸念を示した。黒海では穀物、肥料などが運ばれており、同省は同様の事件が世界の食料供給にも幅広い影響を及ぼす恐れがあると警告した。ただし、今回の攻撃を受けた輸送量の減少や運賃上昇を示す確定値はまだない。

IMOは船員保護を要求

国際海事機関(International Maritime Organization、IMO)は7月、黒海とアゾフ海の民間商船に対する攻撃を非難し、紛争当事者に対して商船や海洋環境を危険にさらす行為を控え、船員を保護するよう求めた。今回の商船被害は、この声明後も航行上の危険が続いていることを示す。

日本政府が今回の2隻への攻撃に絞った船舶向け注意情報を新たに公表したことは、8月4日時点で確認できていない。黒海の航行リスクを判断する際は、攻撃の帰属が確定していないことと、民間船への被害が複数回起きていることを分けて見る必要がある。

よくある質問

アルヒーポオシポフカの浜辺では何人が死傷したのか
クラスノダール地方当局の8月4日時点の発表では、子ども4人を含む7人が死亡し、58人が負傷した。負傷者のうち21人が入院した。

浜辺への攻撃はウクライナ軍によるものか
ロシア側はウクライナによる攻撃だと主張している。ウクライナはコメントしておらず、実行主体や無人機が浜辺へ落下した経緯は独立に確定していない。

商船への攻撃が食料供給に直ちに影響するのか
トルコ外務省は穀物や肥料を運ぶ黒海航路への波及を警告した。一方、今回の攻撃による輸送量や運賃への影響を示す確定値は公表されていない。