Appleの「ファミリー共有」は、1人のファミリー管理者が最大5人を招き、各自のApple Accountを保ったまま対象サービスを共有する仕組みだ。合計は最大6人となる。
グループへの参加と、購入済みコンテンツやサブスクリプションの共有は別の条件で動く。加入前には、Apple Accountの国・地域、購入アイテムの共有設定、支払い方法、対象サービス、過去1年のグループ変更歴を分けて確認する必要がある。
基本条件──最大6人、1グループ、年1回の変更
Appleの日本語サポートは、成人の管理者が最大5人を招待し、各Apple Accountが一度に所属できるグループを1つに限り、別のグループへの切り替えを1年に1回としている。管理者を含めた上限は6人で、アカウントやパスワードを共用する仕組みではない。
Appleの日本向け案内は、ファミリー共有の全メンバーが同じ国に住む必要があるとしている。本稿が確認した日本語の公開条件には、同一住所への居住や定期的な位置確認を求める記載はない。ただし、購入アイテムの共有にはApple Accountの国・地域をそろえる別の条件がある。
管理者によるグループの解散やメンバーの退会で人数枠が空いても、別グループへの切り替え回数は別に扱われる。短期間だけ別のグループへ移り、後から再び変更する使い方は、年1回の制限に触れる可能性がある。
共有対象──サブスクリプションと購入アイテムを分ける
Appleの共有対象一覧は、iTunes Storeの音楽、Apple TVアプリの映画や番組、Apple Booksのブック、対象Appに加え、Apple OneとApple Musicのファミリープラン、Apple TV、iCloud+などのサブスクリプションを挙げている。サービスの提供状況は国・地域で異なり、日本の契約画面に表示されるプランが基準となる。
App Storeのすべての商品が共有されるわけではない。Appがファミリー共有に対応するかはデベロッパが決め、非対応のサブスクリプション、消費型のアプリ内課金、非表示にした購入アイテムなどは共有対象から外れる。契約名に「ファミリー」がなくても共有可能な商品がある一方、個人プランをそのまま6人で使えるとは限らない。
iCloud+は容量を共有し、写真や書類は分離
Appleは、iCloud+を最大5人のほかのメンバーと共有しても、全員が自分のApple Accountを使い、写真、書類、その他の個人情報は各自に分かれると説明している。共有されるのはストレージ容量と対象機能であり、グループへ入っただけで別のメンバーのファイルを読めるようにはならない。
有料のiCloud+を個人で契約しているメンバーは、グループの共有プランへ切り替えるか、自分のプランを維持するかを選ぶ。共有プランへ切り替えた場合は個人プランの残存期間分が払い戻されるが、個人プランと共有プランを同時には使わない。
支払い──「購入アイテムの共有」で管理者の負担が変わる
ファミリー共有には、サブスクリプションの共有と「購入アイテムの共有」がある。管理者が後者をオフにしても、iCloud+やApple TVなど対象サブスクリプションの共有は続けられる。Appやブックの購入履歴まで共有するか、契約中のサービスだけを共有するかを分けて設定する仕組みだ。
Appleの購入共有に関する案内は、メンバーのApple Account残高を先に使い、残高が不足し、購入アイテムの共有がオンであれば、不足分をファミリー管理者へ請求すると説明している。ほかの成人が自分の支払い方法を使う設定もある。管理者は共有のお支払い方法と購入履歴を確認し、子どもには「承認と購入のリクエスト」を設定できる。
Walletに登録したApple Payのカードと、ファミリー共有で使うお支払い方法は役割が違う。前者は店舗やWebでの決済手段で、後者はApple Account上のコンテンツ購入を誰が負担するかという設定である。
国・地域──購入共有は請求先住所で判定
AppleのiTunesユーザガイドは、購入アイテムを共有する全員が同じ国・地域にいる必要があり、Apple Accountに関連付けた請求先住所から国・地域を特定すると明記している。旅行中の現在地ではなく、アカウントに設定したストアの国・地域と請求情報が判断材料となる。
メンバーが別の国へ移り、Apple Accountの国・地域を変更すると、ほかのメンバーの購入アイテムへアクセスできなくなる場合がある。共有経由でインストールしたAppが動かなくなる可能性もあるため、海外転居の前には購入元と契約中のサービスを確認する必要がある。
Appleの国・地域変更手順は、ストアクレジット残高の消化、対象サブスクリプションの解約と期間満了を求め、新しい地域で使える支払い方法と請求先住所が必要になる場合や、ファミリー共有の参加中は変更できない場合があるとしている。国・地域だけを設定画面で切り替えれば終わる手続きではない。
退会後──自分の購入は残り、共有アクセスは終了
Appleの退会案内は、成人が自分でグループを抜けられる一方、退会後は共有中のApple MusicやiCloud+、ほかのメンバーが購入したコンテンツへのアクセスを失い、自分で購入したコンテンツは残ると説明している。ほかのメンバーから取得したコンテンツは端末から自動削除されないが、利用を続けられない場合がある。
位置情報の共有は止まり、「探す」の家族一覧から端末が外れる。共有していた写真アルバム、カレンダー、リマインダーも同じグループの機能としては使えなくなる。ファミリー管理者が全体を解散する場合は、全メンバーが同時に削除される。
子どものアカウントには成人と同じ退会操作を当てはめない。13歳未満の子どもは別のファミリー共有グループへ移すか、保護者がApple Accountを削除する手続きが必要になる。13〜17歳でスクリーンタイムが有効な場合は、管理者が設定をオフにしてから退会または削除へ進む。年齢条件は国・地域で異なる。
共有iCloud+を抜ける前に5GBを確認
Appleは、共有iCloud+を抜ける人の使用量が無料枠の5GBを超える場合、容量を維持するには自分の有料プランが必要だと案内している。容量超過のまま個人プランを用意しなければ、新しい写真や動画、iCloud Driveのファイルのアップロードと、iPhoneやiPadのバックアップが止まる。
既存の写真やファイルが退会時に一括削除されるという説明ではない。退会前にiCloudの使用量を確認し、個人のiCloud+へ移るか、無料枠まで減らすかを決める必要がある。
加入・退会前に照合する六項目
1 人数と変更歴。 管理者を含めて6人以内か、各メンバーが別のグループに所属していないか、過去1年に別グループへ切り替えていないかを確認する。
2 国・地域。 全員の居住国と、購入共有に使うApple Accountの国・地域、請求先住所が一致するかを見る。
3 共有対象。 契約するAppleのサブスクリプションがファミリー向けか、第三者のAppやアプリ内課金が共有対応かを商品画面で確かめる。
4 支払い。 購入アイテムの共有をオンにするか、管理者のお支払い方法へ誰の購入が請求されるかを決める。
5 退会後の容量。 共有iCloud+を使うメンバーは使用量を記録し、5GBを超える場合の個人プランを退会前に検討する。
6 子どものアカウント。 年齢、スクリーンタイム、別グループへの移動手順を成人メンバーとは分けて確認する。
日本向け公開資料で残る空白
Appleの日本語資料は人数、国・地域、支払い、退会後の扱いを示している。一方、同一国条件や年1回の変更制限によって招待を受けられなかった日本の利用者数、サポートへの照会結果を集計した公表資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。制限に該当する頻度やサポート対応の結果は、公開情報から推定しない。
よくある質問
Appleのファミリー共有は何人までか?
ファミリー管理者1人とメンバー最大5人の合計6人だ。全員が各自のApple Accountを使う。
メンバーは同じ住所に住む必要があるか?
本稿が確認したAppleの日本語公開条件には、同一住所への居住や定期的な位置確認を求める記載はない。ただし、全メンバーが同じ国に住む必要があり、購入アイテムの共有ではApple Accountの国・地域も同じでなければならない。
別のファミリー共有グループへすぐ移れるか?
各Apple Accountが同時に所属できるのは1グループで、別のグループへの切り替えは1年に1回だ。退会前に直近の変更時期を確認する必要がある。
退会するとiCloudの写真は消えるか?
退会時に既存の写真が一括削除されるとの案内ではない。ただし、共有プランを失った後の使用量が無料枠の5GBを超え、個人の有料プランを用意しなければ、新しい写真やファイルのアップロードと端末のバックアップが止まる。
出典・参考資料
- iPhone、iPad、Macでファミリー共有を設定する方法(Apple サポート(日本))最大5人の招待、1グループのみ、別グループへの切り替えは1年に1回という条件
- ファミリー共有(Apple(日本))各自のApple Account、同じ国に住む条件、共有サービスと管理者の役割
- 家族と共有できるコンテンツの種類(Apple サポート(日本))共有できる購入アイテム、Appleのサブスクリプション、共有対象外の項目
- iPhoneやiPadでアプリや購入アイテムをファミリー共有で共有する方法(Apple サポート(日本))購入アイテムの共有、管理者の支払い、共有停止後も続くサブスクリプション
- PCでファミリー共有を使用してiTunes Storeで購入した項目を共有する(Apple サポート(日本))購入共有に必要な同一国・地域と請求先住所による判定
- ファミリー共有グループでiCloud+を共有する(Apple サポート(日本))容量と機能の共有、個人データの分離、退出時に5GBを超える場合の影響
- ファミリー共有グループから退会またはメンバーを削除する方法(Apple サポート(日本))成人と子どもの退会条件、解散、共有停止後に失うアクセス
- Apple Accountの国や地域を変更する(Apple サポート(日本))残高とサブスクリプションの事前処理、新しい支払い方法と請求先住所、ファミリー共有中の制約