米国の連邦拘置施設に収容されているアンドリュー・テート(Andrew Tate)、トリスタン・テート(Tristan Tate)両氏は、英国への引き渡し手続きが続く間の釈放を求めている。8月13日に予定されていた拘束継続の審理は、弁護側の準備期間を確保するため同月27日に延びた。

AP通信によると、米連邦治安判事ローレン・ルイス氏は弁護側の要請を認め、8月13日の審理を同月27日に変更した。弁護団は検察側の主張に答えるため、追加の時間が必要だと説明した。両氏は7月18日にマイアミで逮捕され、2日後の初出廷以降も連邦拘置施設に収容されている

有刺鉄線で囲まれた連邦拘置施設の建物(イメージ)
テート兄弟はマイアミの連邦拘置施設に収容されている。写真はイメージ。(Photo by K, Pexels)

8月27日に決まるのは拘束を続けるか

次回審理の対象は、引き渡し手続きの期間中も拘束を続けるか、条件を付けて釈放するかである。英国へ引き渡すか、英国側の訴追内容が事実かを判断する場ではない。8月27日に釈放が認められても引き渡し手続きは終わらず、拘束継続となっても有罪が認定されたことにはならない。

知名度を挙げる弁護側、逃亡リスクを訴える検察側

弁護側は、両氏は知名度が高く逃亡は難しいうえ、ルーマニアで課された移動制限を守り、SNSで居場所を継続的に公開してきたと主張した。検察側は、複数の旅券や身分、国外へ移動する資力を挙げて逃亡の危険が高いと反論し、英国の重大な訴追内容とルーマニアで証人を威迫しようとしたとの疑いを公共安全上の懸念に挙げた

いずれも拘束の要否をめぐる当事者の主張であり、裁判所が訴追内容を事実と認定したわけではない。両氏は英国とルーマニアでの不正行為を否定している。

英国側は7人に関する訴追を公表

英国の王立検察庁(Crown Prosecution Service、CPS)は7月19日、4人に関する計38件の追加訴追を決めたと発表した。内容には強姦、性的暴行、性的搾取を目的とする人身取引の手配・助長、暴行、児童のわいせつ画像などに関する罪が含まれる。従前の21件は3人に関するもので、被害を申し立てた人は合わせて7人となった

CPSは米国へ両氏の引き渡しを求めている。同時に、訴追判断は有罪や犯罪事実の認定ではなく、両氏には公正な裁判を受ける権利があると明記した。

引き渡し判断は司法と行政の二段階

米司法省の公式説明では、米国の国際引き渡しは司法段階と行政段階に分かれる。裁判所が条約と米国内法の要件を満たすかを審査し、引き渡しが可能だと判断した場合、行政段階で国務長官が実際に身柄を移すかを決める

今回の拘束継続審理は、その引き渡し判断に先立つ手続きである。AP通信によると、英国が引き渡しを裏付ける証拠を米国務省へ出す期限は9月中旬で、正式な引渡審理の日程は決まっていない。拘束の判断と引き渡しの可否は分けて見る必要がある。

日本政府の公表資料は確認できず

本件は英国の請求を米国の裁判所と行政府が扱う手続きで、日本は当事国ではない。日本政府が本件への関与や日本への具体的な影響を示した公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。今後の焦点は8月27日の拘束判断、英国側の証拠提出、正式な引渡審理の日程である。

よくある質問

8月27日に英国への引き渡しが決まるのか
決まらない。審理するのは、引き渡し手続きが続く間も両氏の拘束を続けるか、条件付きで釈放するかである。正式な引渡審理の日程は公表されていない。

英国の訴追内容は有罪認定なのか
有罪認定ではない。CPSは訴追を決めた段階で、犯罪事実を認定するのは裁判所だとしている。両氏は不正行為を否定している。

裁判所が引き渡し可能と判断すれば直ちに移送されるのか
直ちに移送されるとは限らない。司法段階を通過した後も、米国務長官が実際に身柄を英国へ移すかを判断する行政段階が残る。