iPhoneのバッテリー最大容量は、下取り額を決める唯一の指標ではない。本稿で確認したAppleと国内通信3社の公式基準に、80%や85%を境として全機種を一律に減額する表はなかった。画面に出る数字は端末状態を残す一項目だが、最終額は機種、外観、動作、修理履歴、ロック解除の状態を含む実機査定で決まる。

両手でスマートフォンを操作して端末の状態を確認する人(イメージ)
下取り前に機種、電池、修理履歴を端末上で確認する。(イメージ)

日本ではどうなる

日本では、iPhoneの下取りはApple StoreとAppleのオンライン窓口で利用でき、NTTドコモ、au、ソフトバンクも自社の下取り制度を案内している。公開価格は全国共通の固定額ではなく、機種、容量、端末状態、還元方法、実施時期で変わるため、同じ端末でも購入先の公式ページでその日の金額を照合する必要がある。Appleの国内利用規約は、下取りを運営する会社としてLikewize Japan、Alchemy Telco Solutions Japan、ファーイーストセルラーを挙げ、東京都公安委員会の古物商許可証番号も記載している。これはバッテリー最大容量に全国一律の下取り基準があるという意味ではない。日本での実例としては、Appleがオンライン査定後の実機検査で金額を変更し、低い金額を拒否した場合は端末を返却する流れを公開している。価格を比べる際は、Apple、日本の通信3社それぞれの公式査定画面で、同じ機種と状態を入力して確認するのが出発点になる。

80%──AppleCareの交換条件と下取りは別

Appleはバッテリーの最大容量を、新品時と比べた容量の基準と説明している。経年劣化が進むと最大容量が下がり、1回の充電で使える時間も短くなる。ここで混同しやすいのが80%という数字だ。Appleの国内向け修理案内は、有効なAppleCareプランでバッテリー容量が80%未満になった場合、追加料金なしで交換すると示している。これは修理サービスの条件であり、下取り価格の区分ではない。

Apple Trade Inの国内向けページは、下取り額がデバイス、モデル、メーカー、状態で決まり、申告した状態と実機が一致しなければオンラインと店頭の金額が異なる場合があると説明している。正確な金額の確認にはシリアル番号が要る。ページと利用規約には、最大容量80%や85%を全機種共通の減額基準とする表は掲載されていない。

机に置いたスマートフォンに設定画面が表示されている(イメージ)
オンライン見積もりは実機検査前の金額で、申告した状態との差があれば変更されうる。(イメージ)

Apple Trade In──見積額は検査後に変わりうる

オンラインの下取りでは、指定された質問に答えた後、Appleのパートナー会社が届いた端末を検査する。新しいデバイスを受け取ってから14日以内に下取り端末が到着し、申告した状態と一致することが当初の見積額を受け取る条件だ。Apple Storeではスペシャリストがその場で端末を評価する。

Appleの国内向け利用規約は、検査結果が申込内容と異なる場合、「探す」が無効になっていない場合、または期限内に端末が届かない場合、パートナーが当初の見積価格を変更しうると定める。変更後の価格は承認か拒否を選べる。発送後は原則として下取りを取り消せないが、検査後に当初より低い金額を提示された場合は拒否でき、端末は返却される。初期見積もりと最終額を別のものとして記録しておく理由はここにある。

世代の異なる3台のスマートフォンが机に並んでいる(イメージ)
下取り対象、査定区分、還元方法を同じ端末、同じ時点で比べる。(イメージ)

国内3社──端末状態を分ける査定基準

NTTドコモはiPhoneを「良品」「画面割れ品」「機能不良品」の3段階で査定し、電源、液晶、タッチ操作、カメラ、音声、ボタンの異常を機能不良品の例に挙げる。auは外装と機能の状態からA~Dの4段階に分け、ランク別に下取り価格を掲載している。ソフトバンクは筐体の変形、表示やタッチ操作の異常、ガラスやカメラの破損を「良品でない場合」の基準とし、電源が入らない端末、ロック未解除、改造などを受付不可の例としている。

下取り先公開される査定区分電池・部品に関する明示
NTTドコモ良品/画面割れ品/機能不良品最大容量の割合別区分は掲載なし
auA~Dの4段階非純正バッテリーはDランク
ソフトバンク良品/良品でない場合/受付不可改造や部品交換などの現状変更は受付不可の例

auは非純正バッテリーをiPhoneのDランクに当たる条件として明示し、電源が入らない端末や充電できない端末を下取り不可の例に挙げている。電池は査定に関係するが、最大容量の数字だけを独立して見るわけではない。少なくとも3社の掲載基準では、充電や電源を含む機能、部品の真正性、外装の状態と組み合わせて評価される。

電池の状態と修理履歴を分けて確認

Appleのユーザガイドによると、iPhone 14以前は「設定」から「バッテリー」「バッテリーの状態と充電」と進み、iPhone 15以降は「バッテリーの状態」を開く。15以降では最大容量に加え、充放電回数、製造日、使用開始日も確認できる。査定前には表示を保存し、端末を送るまでの状態記録にする。

電池を交換した端末では、最大容量とは別に修理履歴を見る。iOS 15.2以降の対応機種は「設定」「一般」「情報」に「部品と修理の履歴」が表示され、Appleは「不明な部品」があると下取り価格に影響する場合があると明記している。「不明」は非純正部品のほか、部品が正常に動かない、修理後の検証と関連付けが済んでいない、改造などの理由でも表示される。最大容量が高くても、この履歴を無視して査定額を予測するのは難しい。

低い電池残量が表示されたスマートフォンを手に持つ人(イメージ)
最大容量と部品・修理履歴は別々に確認する。(イメージ)

送付前に残す四つの記録

  1. 機種名、ストレージ容量、現在の初期見積額を保存する。
  2. バッテリー最大容量と「部品と修理の履歴」の画面を保存する。
  3. 画面、背面、側面、カメラ周辺を撮影し、充電、タッチ操作、カメラ、音声、ボタンの動作を確認する。
  4. 購入代金の割引、ポイント、ギフトカードなどの受け取り方と、査定変更時の返却条件を確認する。

電池を交換してから下取りに出す場合も、先に交換費用と交換前後の見積額を比べる。公開された査定表には最大容量ごとの上げ幅がないため、交換費用を回収できるとは限らない。画面など別の不具合がある端末では、スマホの画面修理で保証判定と費用を先に確認する手順と同じく、修理の見積もりと下取りの査定を分けて考える必要がある。

端末を手放す前にはデータ移行と消去も終える。Appleはバックアップ、新端末へのデータ移行、「部品と修理の履歴」の確認、Apple Accountからのサインアウト、個人情報の消去を案内している。初期化前に新端末で写真、連絡先、認証アプリ、電子マネーなど必要なデータが移ったことを確認し、その後にApple Accountからサインアウトして「探す」をオフにし、端末を消去する。

手に持ったスマートフォンでアプリの移行状況を確認する人(イメージ)
初期見積もり、端末状態、最終査定を一つの記録にまとめる。(イメージ)
iPhoneの下取りで初期見積もり、外観・機能・部品の検査、最終査定へ進む流れ

よくある質問

iPhoneのバッテリー最大容量が80%なら必ず減額されるのか
一律に減額されるとは確認できない。80%未満はAppleCareのバッテリー交換条件として公開された数字で、Apple Trade Inの国内向けページに最大容量別の減額表はない。最終額は機種と実機の状態で決まる。

非純正バッテリーに交換したiPhoneも下取りに出せるのか
下取り先によって扱いが異なる。Appleは不明な部品が下取り価格に影響する場合があるとし、auは非純正バッテリーをDランクの条件に挙げる。ほかの下取り先も修理履歴や改造の基準を確認し、送付前に受付可否を確かめる必要がある。

オンライン見積もりより最終額が低い場合はどうなるのか
Apple Trade Inは変更後の金額を承認または拒否でき、拒否すれば端末が返却される。通信事業者は返却やキャンセルの条件が異なり、ソフトバンクは良品でないと査定された場合も下取りのキャンセルと端末返却はできないとしている。発送前の確認が要る。